ジャーニー・トゥ・フォーエバーの90L燃料製造器

ゴミとガラクタの固まり? 実際そうだけど(笑)、これは安くシンプルに、安全かつ効率的に、高品質のバイオディーゼル燃料を作ることができるシステム。世界中の手づくりバイオディーゼラーたちのノウハウをJTFが集約して築き上げたこのプロセッサの詳細をここに紹介しているので、だれでも手づくりで作ることができると思う。このプロセッサは1段階もしくは2段階方式のどちらでも対応できる。

私たちは灯油ボイラー温水器の90L灯油缶を使ったけれど、もっと大きいドラム缶でももっと小さいタンクでも何でもOK。ポイントはきちんと閉まって液体や空気を漏らさない取り外しできる蓋が付いていること。


写真右から:洗浄タンク;バイオディーゼル燃料製造器(プロセッサ);沈殿タンク;もう一つの洗浄タンク。プロセッサと洗浄タンクの2本でバイオ燃料の製造は完了できるけれど、沈殿タンクともう一つの洗浄タンクを加えることで製造可能量を効率的に倍増することができる。

写真右下:2口の密閉容器にエアーポンプからの空気を注入することで、メトキサイドを空気圧で押しプロセッサに流し込んでいる。こうすることで引火性かつ毒性を持つメタノールの蒸気や超アルカリのメトキサイドに触れないようにしている。メトキサイド楽勝法およびメトキサイドの加え方も参照。プロセッサの蓋は留め具8個でしっかり固定し、ほぼ密閉している。
写真右下に見える青いポンプは1時間に約2,000リットルの水を送り出すことができる1インチ径の水ポンプ。でもこの辺で入手しやすい配管部品のサイズに合わせるため、1インチ(20)から3/4インチ(15)にパイプのサイズを落としている。そのためポンプの威力も減っているけれど、60リットル、もしくは100リットルの原料を反応させるには充分。ただしそれより大量にプロセスするためには1インチそのままのパイプ類を使うか、もっと強力なポンプを使うか、もしくは反応時間を長くするかすること。そうでないとエステル交換が燃料レベルまで充分行われず、洗浄の時にトラぶったり粗悪な燃料になってしまう。

ポンプがプロセスの要である攪拌を担当する。加えて、プロセッサから沈殿タンクに、プロセッサ/沈殿タンクから洗浄タンクに燃料を移動させるのもこのポンプ1台が担っている。

継ぎ手や繋ぎ目にはホームセンターなどで入手できる配管部品を使う。ホースには中が見えるように透明で、かつ編みが入って強化されているPVCホースを使った。バイオディーゼル移動用ホースの先端には継ぎ手部品を付け、それに対応した継ぎ手を沈殿タンクと2つの洗浄タンクの蓋に取り付けた。これで必要に応じてホースの先を付け替え、それぞれのタンクの蓋に固定してバイオディーゼルを流し込むことができる。その他の継ぎ手には短い3/4インチ(15)鉄パイプを使った。片方の先端にネジ溝が入っており、もう片方の先は金属カッターで溝を切り込みホースを被せた上からステンレスのクランプで止めている。

このプロセッサを作るためにかかった費用の大部分はポンプ代(35ドル)。他の部品はほとんど廃棄物などからリサイクルした。12箇所で使っているバルブはすべて拾い集めてきた物。これを店で購入すると1個800〜1,000円はするので1万円以上節約できたことになる。温度計も農業機械の廃棄場所で地面に落ちていた物。それでも正確に温度を計ってくれている。

写真上部右でプロセッサに突き刺さっているのは、1.5kwの電熱棒。原料の廃食油は別の場所で加熱してからプロセッサに注ぎ込み(下記参照)、プロセスの途中で冷えた分だけをこの電熱棒で加熱して補っている。
ポンプと電熱棒、エアーポンプ2個の電源はプロセッサの台座に据え付けた延長コードのコンセント差し込み口でスイッチを入れたり切ったりする。
プロセッサの中身


プロセッサの中はどんな仕組みになっているのか、みなさん興味津々でのぞき込んでくれるけれど、ごらんの通りほとんど空っぽ。写真はプロセッサを真上からのぞき込んだところ。壁に突き刺さっているのは右上から1.5kwの電熱棒、プロセッサからポンプへの排出口、温度計。すべてシリコンで封している。

プロセッサに使ったタンクの底にはくぼみがあり、一番低い位置に排出口が取り付けられていた(下の写真参照)。でもパイプの先端が少し飛び出していたため、周りにグラスファイバー用のポリエステル樹脂を流し込み平らにした。これで最後の一滴まで流し出せるようになった。



4つのタンクは山間部で多く使われている(だから多く捨てられていた)灯油ボイラー温水器の灯油缶を使った。リサイクル業者さんから1缶200円で譲ってもらった物。灯油缶でなくても似たようなタンクならOK。バイオディーゼラーには世界的な標準タンクである200Lドラム缶から燃料製造器を作る人が多いけれど、私たちにとってドラム缶は大きすぎて重すぎる。その代わり、沈殿タンクともう1つの洗浄タンクを加えることでドラム缶プロセッサと同レベルの燃料製造可能量を確保した。それに90Lタンクならプロセッサと洗浄タンクを私たちのワゴン車に積んで、各地でこんな簡単な装置で高品質のバイオディーゼル燃料を手づくりすることができるとデモンストレーションできるから。

でもこのシステムはドラム缶を使っても充分作ることができる(ポンプの容量については上を参照)。薬品などを入れるドラム缶は蓋が取り外せ、横からバンド締めするので重宝する。これを入手できた人はラッキー! でも蓋なしで上に口が2つ付いているだけの普通のドラム缶でも、底板を切り離し、ドラム缶の上下を逆転させ、もともとの口の小さい方には排出用の配管部品とバルブを取り付け、大きい方の口から熱源を差し込み、今は蓋となった底板を留め具で止められるような仕組みにすると立派なプロセッサになる。バイオ燃料MLの参加者にはドラム缶の底板を切り離したところに、木の板で蓋を作り、プラスチックを張り付け、ドラム缶の縁をシリコンで塞いで留め具で固定する蓋を使っている人もいる。他の蓋を作ってもOK。ただし空気を漏らさないようにきちんと閉めて固定できることが大切。

私たちが使った灯油缶は全部蓋を切り離さなくてはいけなかったけれど、上手に切断すれば蓋の縁とタンクの縁をピタッと噛み合うように残すことができる。加えて蓋の縁にシリコンを塗り、プロセッサ用のタンクについては留め具8個でしっかり蓋を押さえて密閉できるようにした。

タンクはいずれも捨てられていた鉄アングルを溶接して作った台の上に載せている(下にバケツを置いて燃料/副産物/水を抜くため)。

灯油缶の底にはもともと1/2インチか3/4インチのパイプとバルブが付いていたので好都合だった。プロセッサ用に使ったタンクには排出口の周りに出っ張りがあったけど、他の3つのタンクは底が平らだった。そこで蓋を切り離した後にタンクを2x2木材の上に乗せ(排出口が木材の間に入るように)、内側から別の長い2x2木材を排出口にあて、重いハンマーで打ちだした。


この細長いタンクの方がプロセッサ向きだった・・・けど見つけるのが遅かったため今回は使っていない。100Lタンクで、他のものより細長い。高く細い形の方がプロセッサ向き。でも今の白いタンクでも充分プロセスできるので作り直しはしていない。
これでタンクの底にわずかな丸みを作ることができる。排出口を1cmでも周囲より低くしてやると効率的に液体を抜くことができる。灯油缶やドラム缶のように口がタンクの端にある場合は、タンクが排出口に向かって少し前傾するように台を作るとよりベター。

プロセッサの底にはT字つなぎで2つのバルブを付けている。1つはグリセリンなど副産物を流し出すため、もう一つはポンプを使ってバイオディーゼルを洗浄タンクに移動させるためのもの。



沈殿タンクのスタンドパイプ。写真上:沈殿タンクの中。右がスタンドパイプ。写真下:沈殿タンクの底に設置した2つの流出口。
エステル交換を終えたあと、沈殿タンクに移動させずそのままプロセッサの中で分離させる場合は、プロセッサ底の排出口に先を少し細くした塩ビパイプを差し込んでおく。このパイプは長さ(高さ)がポイント。グリセリンなど副産物が沈殿したとき、その副産物の液面より少し上にパイプの先端がくるように計算してパイプの高さを決める。つまりこの長さのスタンドパイプを付けたまま分離した上澄みのバイオディーゼルだけをまず流出し(ポンプで洗浄タンクに移動)、その後でパイプを外してグリセリンなど副産物を排出することができる。

つねにバイオディーゼルとグリセリンなど副産物を分離させる沈殿タンクには排出口が2つあり、その1つに高さを計算して上澄みのバイオディーゼルだけを流出するスタンドパイプを固定している。もう1つの排出口はタンクの底からグリセリンなど副産物をそのまま流し出すもの。パイプの高さは確実にバイオディーゼルだけを流出するよう高めに設定しているため、副産物を抜き出したときにはいくらかのバイオディーゼルが一緒に流出される。これは小さめ(細め)の容器で再び分離させ、上に浮いたバイオディーゼルだけを取り出して次の回の燃料を洗うときに合流させるとムダがない。

私たちが使った灯油缶には、底に流出口と上に小さなキャップ2つしかなかったので、その他の流出・流入口や温度計・電熱棒などは後から取り付けた。固定にはできるかぎりリベッター(鋲絞め機)を使い、穴を内側と外側からシリコンで塞いだ。その他の所は穴を切り抜き、雌ネジの配管部品を溶接して取り付けた。

これらの部品を取り付ける穴を切り抜くとき、ホールソーや電気ドリルに取り付けて大きめの穴を切り抜くパーツを持っていない場合は、必要な穴の位置と大きさをタンクの壁に書き、その穴の線の内側に沿って電気ドリルで約2mmくらいの小さな穴を続けてあけていく。小さな穴のつながりで中身を切り抜いたら、片面が丸くなったヤスリで穴の内側をならし、配管部品がピッタリあてはまるようになるまでヤスリで穴の縁を整えていくとよい。それから部品を溶接で取り付ける。私たちは念のために、溶接した上からバイオディーゼル関係の薬品にも耐えられるエポキシ樹脂で固め、その上からシリコンでシールしている。これで漏れ出ていない。

プロセッサの蓋
写真右:メタノール/メトキサイド注入バルブ。バルブは内径4mmで、これくらいが容器からメタノールを押し出すエアーポンプの強さにちょうど適した大きさのようだ。メタノールはゆっくりと注入される。1段階方式では約12リットルのメトキサイドを10分くらいかけて、酸・アルカリ2段階方式では4.8リットルと7.2リットルをそれぞれ4〜6分かけて注入する。
写真上:ポンプからプロセッサに戻る原料はそのまま中に激突はしない・・・パイプの太さのまま滝のように流れ込むと大量に飛び散ったり不必要な攪拌を起こしてしまう。エステル交換に必要な攪拌はポンプの中で行われるのであって、プロセッサの中で攪拌されるわけではない。そこで私たちは中国の如雨露の頭をプロセッサの蓋の裏に取り付けた。直径10cmほどの如雨露の頭には150個ほどの穴が打ちだされていたので、これをドリルで2mmほどの穴に押し広げた。これによってポンプからプロセッサに送られた原材料は、プロセッサ全域に広がる柔らかいシャワーとなって流れ込み、これが巧く機能した。
写真左:灯油缶にはもともと油量ゲージが付いていた蓋があった。これをオイル缶などのパチッと留められる蓋に取り替え、必要に応じて3つの蓋を使い分けている。一つは写真で閉まっている普通の蓋。2つ目は左に移っている排気用パイプ付きの蓋。パイプは蓋を貫き、エポキシ樹脂とシリコンで固定かつシールされている。3つ目の蓋は酸・アルカリ2段階方式で使うために漏斗の付いた物。
プロセッサの蓋を斜め上から見たところ:左にポンプからの流入口。右にメタノール/メトキサイド注入バルブ。真ん中はタンクの蓋。手前に蓋を本体に固定する留め具(8個のうちの1つ)が見える。

プロセッサの蓋内側と本体先端を塞ぐシリコン・シールの作り方。まず蓋の内側周囲にたっぷりのシリコンを絞り出し、まだ柔らかいけどベタベタくっつかない程度までそのまま乾かす(天候にもよるけど約6〜8時間)。それから注意しながら蓋をプロセッサ本体に乗せ、蓋の上から重しで押さえる。偏らなず重さが蓋の周囲に均一にかかるよう注意。こうするとシリコンがくっつくことなくプロセッサ本体の形をそのままかたどってくれる。剥がし剤を使う必要もない。

プロセッサからポンプへつながる流出口がプロセッサの底からどれくらいの高さに位置するかは、あんがい重要だということに気が付いた。私たちが作ったプロセッサでは、ポンプへの流出口はグリセリンなど副産物が沈殿したときの液面より高い位置に取り付けている。その高さは原料の廃食油やバイオ燃料の作り方によって変わってくる。とくにプロセッサの蓋から原料が落ちるところに如雨露の口を取り付けている場合、プロセッサの中では原料などが主に循環するだけで攪拌はされていない。エステル交換に必要な攪拌はポンプの中で行われている。ポンプはプロセッサの流出口から原料を吸い出すけれど、それはあまり激しい動きではない。その結果、かなりの量のグリセリンなど副産物がプロセスの途中からすでに沈殿し始めることになる。これは好ましい現象。たぶん副産物の半分くらいはプロセッサを止めた時点ですでに底に沈殿していると思う。副産物に含まれていくらかのメタノールもプロセス途中で取り除かれることになるけれど。

アレックス・カックの酸・アルカリ2段階方式には、オプショナルとしてアルカリ段階の途中にいくらかのグリセリンを取り除くステップがある。(アレックスは「これをしなくてもプロセスを上手に終えることはできるけど、プロセッサの底に排出口があるのなら途中でグリセリンなど副産物をいくらか抜いた方が生産性が高まる」と言っている)


左のサンプルはポンプを止める直前にプロセッサ上部からとりだした物。プロセスを終了したら直ちにプロセッサの中身をぜんぶポンプで沈殿タンクに流し込むけれど、そのときまずはプロセッサの底にすでに沈んでいるグリセリンなど副産物が流し込まれ、できあがったバイオディーゼルと再び混ざり合ってしまう。右のサンプルはポンプで中身を流し込んだ直後に沈殿タンクから取り出した物。副産物の層がほぼ2倍あるのがわかる(それだけプロセッサの底に副産物がすでに沈んでいるということ)。
「プロセスは必要最小限の量のアルコールで進められている。そのためプロセスの途中から副産物と一緒にわずかでもメタノールが沈められてしまうことは化学反応を遅らせるようにも思われるけれど、逆に大部分の副産物が早々と退場してくれる方がエステル交換を押し進めてくれるようだ」とはアレックスの言葉。

私たちもその効果を見て取ることができた。グリセリンなど副産物が早めに沈んで取り除かれることの効果の方が、それと一緒に取り除かれてしまうメタノールの減少によるマイナス要素より大きく、全体として好ましい結果となった。

そのため、プロセッサのどこにポンプへの流出口を取り付けるかは、かなり慎重に検討する価値がある。

半分(もしくはそれ以上)のグリセリンなど副産物がプロセスの途中から沈殿しているけれど、いくらかはメタノールを抱えたまま最後までプロセッサの中を巡回しており、その量は最適な量に見える。プロセッサを組み立てているときに、前もって最適な位置を計算しようとした。生産率がだいたい100%として(これは酸・アルカリ2段階方式によって私たちが達成している生産率)、原料の廃食油に対して容量比20%のメタノールを加え、だいたい20%のグリセリンなど副産物ができる。とすると、プロセッサの中に原料の廃食油を入れたときの液面を100とすると、最終的に沈殿するグリセリンなど副産物の液面は下から20の所になる。

と言いながら、あれこれ考えた結果、けっこうランダムにプロセッサの中身の下から3割の高さの所にポンプへ繋がる外径1インチの流出口を取り付けた。実際のところ、ポンプがどれくらいの強さで中の液体を吸い出すかとか、不確定要素がいろいろあったため、前もって正確な高さを割り出すことはできなかったけれど、何となく運が良くてまあ的中だったらしい。

ついでに電熱棒も同じ高さに取り付けた。

ただし、これはたまたま私たちの1インチ水ポンプで、このサイズでこの形のプロセッサでの話であって、別のポンプや違う容器のプロセッサだったら変わってくるかもしれない。ちなみに私たちのプロセッサは直径44.5 cm、高さ58.4 cmの90L灯油缶で、1回60Lずつバイオディーゼルを作っている。

原料の油を温めるタンク
灯油ボイラーの90Lタンク(左)と取り外し可能な蓋に切り取ったところ(右)。ちょうど良い長さの温度計は壊れた籾乾燥機から取り出してきた物。これをタンクの蓋の穴からストンと差し込むだけで固定はしていない。タンクの底には排出口があったので、ここが一番低くなるようにハンマーで打ちだし、口にバルブを付けている。(右)バーナーからの熱を無駄なく集めるため、フライパンの底をくり抜き取っ手を切り取り、逆さまにして予熱タンクの底にボルトで締めた。
写真右のステンレス・タンクは植物油そのまま燃料(SVO)を温め、不純物を沈殿させるもの(私たちはバイオディーゼル燃料を作って使っているけれど、植物油そのまま燃料も使えるようにエルスベットのキットを装着した)。
原料の廃食油を温めるために、次のどちらかのバーナーを使っている。左はインドの工房で作られ第三世界でよく使われている灯油のプレッシャーストーブ。「roarer」と呼ばれることも。写真の物はバンガローにいる協力者から私たちのプロジェクトのために贈ってもらった物。灯油の代わりにバイオディーゼルを入れて火をつけると、右の写真のように調子良く燃える。しかも1時間にたった60〜70mlしか使わず、臭いや煙もださずに加熱してくれ効率的かつ経済的。このストーブにバイオディーゼルを入れて燃やすと、1時間ちょっとで60リットルの廃食油をバイオ燃料づくりの適温まで加熱してくれる。
右の写真にあるのは、バイオディーゼルを作ったときに出るグリセリンなど副産物をそのまま燃やす「Turk」型バーナー。直径10センチの円筒は消火器を切り取った物。その中に芯として100円均一で買ってきたステンレスのコップが設置されており、台はカレーの缶でできている。燃料供給は壊れた灯油ストーブから取ってきた灯油タンクで、「リスかご」型のファンは壊れた灯油温水器から取ってきたもの。ゴミとガラクタから作ったバーナーだけど、超高温で勢いよく燃えてくれる。このバーナーだと、原料の廃食油60リットルを加熱するのに1時間もかからず、しかもそれに必要な副産物の量は700mlのみ。

このバーナーに一定の液面を保ったまま燃料(副産物)を供給するため、燃料タンクの先は石油ストーブから切り出してきたバルブが付いており、これが1/4"(約6ミリ径)の銅パイプで繋がっている。Turk型バーナーの基本的な設計図はSteve Spenceのサイトに掲載されている。
http://www.green-trust.org/2000/biofuel/turk/default.htm

JTF手づくりプロセッサーの使い方

1. 原料の廃食油に水が含まれていないかチェックし、必要だったら水を取り除く。廃食油を滴定し、触媒の量を算出する(食用油からバイオディーゼル燃料を作るより正確な滴定のしかた)参照。)

2. アルカリ触媒とアルコールを混ぜたメトキサイドを用意する。私たちはメタノールを一斗缶で購入し、灯油ポンプでメトキサイドの容器に入れ替えている。必要な量のメタノールを容器に入れたら触媒を加えメトキサイド楽勝法のやり方で触媒を溶かす。私たちは水酸化カリウム(KOH)を触媒に使うので、30分以内に完全に溶け終わる。水酸化ナトリウム(NaOH)を使う場合はもう少し時間がかかる。

3. 原料の廃食油60リットルを予熱タンクに入れる。私たちはここは手作業で20Lオイル缶に油を入れては予熱タンクに注ぎ込んでいる。このオイル缶には15リットルのところでぐるりと出っ張っている物もあるので、それだと15リットルX4杯で60リットルを量り取ることができる。私たちは一斗缶でもらってきた廃食油を台所の0.5mm金網でこしながらオイル缶に注ぎ、オイル缶を持ち上げて予熱タンクに油を注ぎ込んでいる。

4. いずれかのバーナーを使って廃食油をプロセスの適温まで加熱する。

5. プロセッサ周囲のバルブが正しく開閉しているか確認する。このとき開いているのはプロセッサからポンプへのバルブと、攪拌した原料をポンプからプロセッサ上部に戻すバルブのみ。

6. 適温まで加熱した原料の油をプロセッサに注ぎ込む。ここもオイル缶で手作業・・・ポンプを使って予熱タンクからプロセッサに油を動かすこともできると思うけど、私たちが使っている直径1インチの水ポンプでは巧く吸い上げられなかったため、シンプルかつ手っ取り早い手作業で油を移し替えている。

7. プロセッサに取り付けてある温度計で廃食油の温度を再確認。良ければプロセッサの蓋を閉め、8つの金具でしっかり固定する。

メトキサイドの注入


左の口が注出用。パイプは蓋からグッと延びて容器の底まで達している(写真では左端底に先端が微かに見える)。メトキサイドを注入するときは、このページの頭にある写真のように木材などで容器を傾け、メトキサイドを最後まで流し出すようにする。右の口がエアーポンプからの空気注入用。容器の蓋に短い胴パイプを刺しており(容器の中に6mmほど)、これにエアーポンプからのパイプを繋いでいる。エアーポンプが容器上部に空気を送り込み、この空気圧がメトキサイドを底にある注出パイプの口から押し出し、バルブを通じてプロセッサの中に注ぎ込む仕掛けになっている。

8. メトキサイド容器の一方の口に注出用のパイプが付いた蓋を、もう一方にはエアーポンプから空気を送り込むパイプが付いた蓋を閉めて、プロセッサの上に設置する。注出用のパイプをプロセッサの蓋に付いているメトキサイド注入バルブに繋ぎ、バルブを開く。反対側の空気を送り込むパイプにエアーポンプを繋げる。プロセッサの別の口に外へ排気するためのパイプ付き蓋を設置する。

9. 青い水ポンプのスイッチを入れる。

10. エアーポンプのスイッチを入れる。

11. メトキサイドが注入される間、温度の低下に注意する。バイオディーゼルづくりの適温より冷たくなったら電熱器のスイッチを入れる(サーモスタットやレオスタットなどの装置を持っているラッキーな人はそれでも良いが、温度計と手作業でのオン・オフで充分。ただし、電熱器のスイッチを入れているときに別のことを始めて温度のことを忘れてしまわないこと!)

12. メトキサイドがすべて注入し終わったらエアーポンプを止める。プロセッサから外へ排気するパイプが付いた蓋を取り外し、普通の蓋を締め直す。メトキサイドの容器からプロセッサへの注入バルブは開けたままにしておく。こうすることにより、プロセッサの中で気化したメタノールは、そのほとんどがプロセッサの蓋の裏で凝縮され水滴となって原料に戻って行き、残りはバルブからメトキサイドの容器に流れ込み、そこで凝縮され溜まることになる。

13.プロセスの進行具合はポンプからタンクに繋がっている透明パイプで知ることができる(編み込みの入ったPVCホースなど、中が見える素材を使うと検視チューブとしての役割も果たすことができる)。後ろから懐中電灯で光を当てるとよりわかりやすい。

14. それぞれのレセピに従ってバイオディーゼルを作っていく。

15. エステル交換が完了したらポンプを止める。バルブを開閉して、ポンプを攪拌用から移動用に切り替える。プロセッサからポンプへの攪拌用バルブを閉じる。次にプロセッサの排出バルブを開き、そこからポンプへ繋がるバルブを開く。移動用ホースの先が沈殿タンクへしっかり固定されていることと、沈殿タンクの底にある排出バルブが閉じていることを確認する。バルブがぜんぶ正確に開閉していることを確認してからポンプのスイッチを入れ、バイオディーゼルとグリセリンなど副産物を全部まとめて沈殿タンクに流し込む(いちど辺り一面にバイオディーゼルを撒き散らした人はバルブ開閉のチェックをぜったい忘れなくなるハズ!)

16. バイオディーゼルを沈殿タンクで12〜24時間静かに置いて分離させる。

17. 移動用ホースを沈殿タンクの蓋から取り外し、どちらかの洗浄タンクに付け替える。バルブの開閉を再び確認した上で、ポンプを使って沈殿タンクから上澄みのバイオディーゼルを洗浄タンクに流し込む。終わったら沈殿タンクのバイオディーゼル排出用のバルブ(中にスタンドパイプが突き刺さっているもの)を閉じ、副産物排出用のバルブ(スタンドパイプなしにタンクの底から排出するもの)を開いて、グリセリンなど副産物をバケツに流し落とす。そこでさらに分離させ、上澄みに残った数リットルのバイオディーゼルを吸い出して、次の回のバイオディーゼルを洗うときに追加する(もったいないから)。

18. バイオディーゼルをいつも通りに水で洗い、乾かして使用する。

19. ここに書いたプロセッサの使い方は、酸・アルカリ二段階方式にも応用できる。その場合、プロセッサの蓋に酸注入用の漏斗付き蓋を付けて使うと良い。

Suppliers

Harbor Freight Tools -- 1" Clear Water Pump -- Item 1479-1VGA
http://www.harborfreight.com/

Northern Tools -- Cast Iron 1in. Clear Water Pump, Model# 109955
(Warning -- very BAD at dealing with international orders!)
http://www.northerntool.com/

Northern Tool & Equipment Co. (UK) Ltd. -- 1" Clear Water Pump, Item No. 109955E
http://www.northerntooluk.com/


手づくり企画の「バイオ燃料メーリングリスト(biofueljp)」

英語で2000年から開設されていたジャーニー・トゥ・フォーエバーの「バイオ燃料メーリングリスト」および「バイオ燃料ビジネスメーリングリスト」では、世界中から参加した3,000人以上の草の根バイオディーゼラーや専門家、学識者、企業家たちが、誰もがどこでも特別な機械がなくてもバイオ燃料を手づくりできる方法を一緒に開発してきました。日本でも草の根バイオ燃料を広めるために、日本語で情報交換や燃料づくりの協力ができるディスカッションの場を設置しました。ぜひご参加ください。
リストURL:http://groups.yahoo.co.jp/group/biofueljp/

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