香港バイオディーゼル物語: 手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」
香港で報道されたバイオディーゼル関連記事(イメージから記事全文にリンクしています)

Ming Pao newspaper, 30 April 1999

Apple Daily, 27 June 1999

Hong Kong Standard, 27 June 1999

Ming Pao newspaper, 27 June 1999

Sing Tao newspaper, 27 June 1999

Hong Kong Economic Times, 5 July 1999

SCMP Letters to the Editor, 20 July 1999

SCMP Letters to the Editor, 28 July 1999

SCMP Letters to the Editor, 4 August 1999

SCMP Letters to the Editor, 19 August 1999

SCMP 28 September 1999




<新しいページ紹介>
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香港バイオディーゼル物語

私たちがバイオディーゼル燃料作りに挑戦した目的の一つに、猛スピードで悪化している香港の大気汚染がなんとかならないかとの願いがあった。

あまりに酷い大気汚染のために香港から逃げ出した人の数は少なくない。汚い空気がビジネスを追い払い、観光客を遠避け、年間数十億香港ドルもの経済的損失を与えていると言われている。政府の調査によると年間2,000人が大気汚染のために寿命を縮めている。それでも効果的な対策は進まず、汚染は深刻になるばかり。

「大気汚染に関係する医療費の年間コストは、香港のGDPの約半分に値する額だということを政府調査は確認した。その額は1996年度の統計で55億香港ドルになるスクリスティン・ロー立法会議員、民権党、1999年5月2日ラジオ・テレビ・ホンコンにて。

「先日渋滞中に死亡したコンテナ車運転手の死因は一酸化炭素中毒であったと検死官が発表」1999年4月サウスチャイナ・モーニングポストより。

「香港の大気汚染は改善の兆しが見える前にもっと悪化するだろうと、環境保護署(環保署)ディレクターのロバート・ラウ氏は昨日改めて警告した」1999年5月25日付サウスチャイナ・モーニングポストより。

空気汚染指数が一定値を越え、年輩者や病人は屋内に留まるようにと香港政府は勧告する。この勧告は結構しばしば発せられる。屋内の空気が安全だという保証はないけれど。

大気汚染をなんとかしなければ、という議論は延々と続けられている。だけどいろんな利害がからみ、問題は複雑になるばかり。その中で一つだけみんなが同意していることは、汚染の一大原因がディーゼルエンジンからの排ガスであるということ。でも、ディーゼルエンジンを排除しようとの計画は何度打ち出されても、その度運輸関係者からの圧力で却下されてきた。運輸関係者がディーゼルにこだわるのにももっともな理由がある。

長年、中国への窓口として発達してきた港湾都市香港の生命線でもある運輸産業は、世界中の運輸産業と同じように安くて丈夫で燃費が良くて長持ちするディーゼルエンジンに全面的に依存している。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンの10倍長持ちするから設備投資も押さえられる。香港に住む多くの人々がディーゼルバスやディーゼルタクシーを毎日のように使い、ほとんど全部の貨物がディーゼル燃料(軽油)で稼働するトラックや船で運ばれている。ディーゼルを全面的に禁止することは、運輸コストをごっそり押し上げ、市民のほとんど全員の生活コストを押し上げ、国際的な競争力を失い、香港経済全体に大打撃を与えてしまう。

「『ディーゼルタクシーやミニバスを別のエンジンに切り替えることができたとしても、香港経済を支えているもっと大規模な運輸関係のディーゼルエンジンを何とかしない限り問題は解決されない』とある関係筋は言う」1999年10月4日付ホンコン・スタンダードより。

香港の経済を支える運輸・交通産業のディーゼル車は約13万5千台あり、これらの産業用車が走行距離にして香港全体の70%を占めている。この運輸部門の車がバイオディーゼル燃料を使い始めれば、車両の改造や買い換えなどの設備投資を運転手が負担する必要もなく、香港の空気が速効きれいになるのではないかと私たちは考えた。

「既存のディーゼル燃料をきれいにして、浮遊粒子状物質の量を減らせばいいじゃないの?」セリーナ・チョウ立法評議会議員の発言。1996年2月2日。

「運輸局と環保署は協力して、今もしくは2〜3年の内に経済的に導入可能な新しい燃料と技術を試み始めるべきだ」クリスティン・ロー立法会議員。1998年9月24日。

こういう事情から、私たちが廃食用油を「料理」してバイオディーゼル燃料を作りディーゼル車を走らせたとき、香港のメディアが興味津々で集まってきた。

手作りのバイオディーゼル燃料を手にするキース。『明報』より

バイオディーゼル燃料に関するメディア報道

「フライドポテトを揚げた廃油から、環境を汚さない燃料ができる」香港の地元紙『明報』が特報記事で発表した(1999年4月30日。左のイメージ参照、以下同じ)。

「マクドナルドのフライドポテトを揚げた油から、自宅の台所で燃料を作り自分の車を走らせることができるなんて、だれが想像しただろう」と記事は続く。

私たちがなぜバイオディーゼル燃料に関心を持ったのか、どうやって台所で燃料を作ったかを説明した後、記者は環境保護署(環保署)のスポークスマンにもインタビューした。「バイオディーゼル燃料は窒素酸化物(NOx)排出を増加させる可能性があるかもしれないため」環保署は香港への導入を却下したとのこと。

もちろん私たちはその点も調べた上でバイオディーゼル燃料を選んでいたため、アメリカやヨーロッパの大学や研究所によるいくつもの研究レポートを示して、バイオディーゼル燃料からのNOxの排出はエンジンを調節することにより石油ディーゼル燃料(軽油)が排出する量より減らすことができると反論した。

明報の記者は、環境保護路線で知られるクリスティン・ロー立法会議員にもインタビューし、環保署は視野が狭く不公平だというロー議員の強い批判を加えて記事をまとめた。

台所で調理した手づくり燃料から、いきなりトップの政治論争に巻き込まれ、ちょっとびっくり。それに環保署の言い分に矛盾を感じたため、私たちはちょっと声を潜めて様子をうかがうことにした。

香港の環保署は、ヨーロッパやアメリカの大気汚染政策に追随しようとしている。
「環保署は近年、ヨーロッパとアメリカの排ガス規制に準ずるレベルまで香港の排ガス規制を強めた」1999年1月29日付サウスチャイナ・モーニングポストより。

「多くのヨーロッパ諸国のように、香港もさらに厳しい排ガス規制ユーロ3を2001年から実施する予定である」香港特別行政区行政長官董建華、1999年施政方針演説にて。

でも、香港が手本としているヨーロッパ諸国もアメリカ合州国も、毎年数百万ガロンのバイオディーゼル燃料を生産してその普及を奨励している。しかも地球温暖化を防ぐ環境保護のため、ディーゼル車の使用を拡大しようとしているんだけど?

「バイオディーゼル燃料は、ディーゼル排ガス問題を解決するための低コストしかも即効力ある対策と高く評価し、アメリカ合州国国会はこの新しい代替燃料の普及を促進するため、バイオディーゼル燃料に関する規制を設立した」アメリカのバイオディーゼル製造会社「Southern States Power」社、1999年3月30日付プレスリリースより。

なのに香港政府はバイオディーゼル燃料の導入を却下している。 長年バイオディーゼル燃料を研究し、実験し、使用してきた多数の研究所や政府機関が、数々の研究報告書の中で バイオディーゼル燃料から排出される窒素酸化物は石油ディーゼル燃料(軽油)の排出量よりずっと少ないレベルまで減少でき、しかももっと健康に直接的な害を与える浮遊粒子状物質(PM)の排出も一緒に削減できることを証明しているのに。それでも香港政府は窒素酸化物が「増加する可能性もある」との理由からバイオディーゼル燃料の導入を全面的に否定するという・・・。

「香港はアジアで一番厳しい排ガス基準を採択し、ヨーロッパ諸国が行っている排ガス取り締まり対策のあらゆる手段を見習ってきた。それなのにヨーロッパ諸国では空気が随分きれいになっているのに、なぜ香港では事態が改善されないのだろうか?」環保署のダイレクター補佐。1999年1月24日付ポストマガジンより。

香港政府の大気汚染政策に疑問を感じた人は、他にもいたようだ。

前進? それとも。。。

それから数週間の後、『明報』の記事を書いた記者から電話があった。彼が環保署のスポークスマンと別の機会に話したとき、環保署は方針を見直し、もう一度バイオディーゼル燃料を前向きに検討してみたいと言い始めたとのこと。まだ窒素酸化物が増加するかもしれない可能性があるとこだわっているけれども、私たちの記事からバイオディーゼル燃料が廃食用油からも作れることを知り、廃油をリサイクルできるのなら一石二鳥の効果があるので以前却下した決定を覆し、大気汚染の改善策のひとつとしてバイオディーゼル燃料の導入を検討してみたいとのことだった。

クリスティン・ローも後ほど私たちへのメールで環保署の心変わりを確認してくれた。「環保署は窒素酸化物排出量の増加の可能性に対する何かいいわけが欲しかったのよ」とのこと。

それはよかった。私たちの小さな試みからバイオディーゼル燃料が紹介され、香港の大気汚染を改善するためにバイオディーゼル燃料を導入しようと然るべき人たちが動き始めてくれている。私たちは安心して企画の他の仕事に焦点を移した。

良いニュースと悪いニュース

「九龍バス会社が焼き豚の廃油から作ったバイオディーゼル燃料を実験稼働: 黒煙の7%削減に成功」 6月27日付の『明報』が見出しで伝え、他紙もそろって似たような記事を掲載した。


記者会見でバイオディーゼル燃料と軽油を見せる九龍バス会社の技術士
学識者を含む「環保教育研究社(Better Environment Hong Kong)」の協力の元、いつも排ガスの主犯者として槍玉に挙げられている香港最大のフランチャイズ・バス会社の九龍バス会社(KMB :Kowloon Motor Bus)が、バイオディーゼル燃料をほんの10〜15%だけ軽油に混ぜ、屋内に設置したCummins LT10エンジンを稼働する実験を行い記者会見を開いた。

バイオディーゼル燃料導入への第一歩! でも窒素酸化物の問題はどうしたんだろう?

環保教育研究社の会員であるデニス・ラング香港大学機械工程学部副教授の発言によると「今回の試験においては植物油ではなく、窒素酸化物の排出が少ない動物性脂肪をレストランから集めて作ったバイオディーゼル燃料を用いた」とのこと(ホンコン・スタンダード)。

副教授はさらに続け、動物性脂肪から作られたバイオディーゼル燃料は植物性の物より汚染微粒子を減少し(星島日報)、「ヨーロッパやアメリカでは気温が低いためバイオディーゼル燃料生産の多くに植物油が使われているが、亜熱帯気候である香港では、硫黄分を含まない動物性脂肪も固まることなく、さらに環境にやさしいバイオディーゼルを用いることができる(りんご日報)」だそうだ。

ということは、長年研究を続けてきたヨーロッパもアメリカも、気温が低いためやむを得ず植物油から作ったバイオディーゼル燃料に甘んじており、亜熱帯気候の香港は動物油脂から作った、より「環境にやさしい」バイオディーゼル燃料を使えるということなのか? そんな話は聞いたことがない。こんなことを言う「環保教育研究社」とはどういう団体なんだろうと探ってみると、石油会社モービルから活動資金をもらっているとの情報を得た。

明報の記事は「環保署は排ガス中の窒素酸化物の量が従来のディーゼル燃料より増加する可能性があるため、バイオディーゼル燃料の導入を却下した」とある。

バイオディーゼル燃料の導入を前向きに検討し直すとの話はどうなっちゃったの?

翌週、『香港経済日報』が続報を出した。「環保署のスポークスマンは『バイオディーゼルを燃料として使うことはNOxの排出を増加しかねない。NOxはすでに香港大気汚染指数の中でも高い数値を示しているため、バイオディーゼルの導入は香港の大気汚染の改善につながらない』」とのこと。

経済日報は環保教育研究社主席のスティーブ・チョイ氏のコメントも掲載し、「ポイントは原材料にある。動物性脂肪でバイオディーゼルを作った場合ならNOxの排出を5〜10%減らすことができるが、植物性油から作った場合は15%増加しかねない。原材料を注意深く選択すれば、NOx問題を克服することができる」だそうだ。

問題外

なるほど、動物性脂肪原料説を唱えれば、バイオディーゼル燃料に偏った認識を持つ環保署のお眼鏡にはかなうかもしれない。だけどヨーロッパやアメリカにおける長年の経験と実験に裏付けされた数々の研究結果によると、環保教育研究社の主張は間違っている。原料を動物性に限ってしまうことは、動物性脂肪より大量に排出される植物性廃油を切り捨てる、もったいない結果になりかねない。

私たちは海外のバイオディーゼル専門家にこの主張の是非を改めて問い合わせてみた。その結果、動物性脂肪から作ったバイオディーゼル燃料と「未使用の」植物油から作ったバイオディーゼル燃料を比べた場合、油脂の燃焼性質が異なるため動物性バイオディーゼル燃料の方が窒素酸化物の排出量が少なくなる「場合もある」。しかし植物性油でも使用済みの廃食用油やパーム油を原料とする場合は、動物性バイオディーゼル燃料と窒素酸化物の排出量は同じだと教えてもらった。

どちらにしても、バイオディーゼル燃料から排出される窒素酸化物は効率的に削減し取り除くことができる。アメリカの全国バイオディーゼル協会は緻密な排ガス実験の結果を示し「バイオディーゼル燃料から排出される窒素酸化物の量は確実に取り除くことができるため、燃料導入の障害とはなり得ない」と断言している。ほかの政府や研究所もこれに同調し、バイオディーゼル燃料の普及を推奨している。香港の環保署を除いては。

間違い指摘に挑戦

せっかく大気汚染改善への可能性が見えたのに、ゆがんだ認識からバイオディーゼル燃料導入への動きがおかしな方向にさまようのを見て、歯がゆく思った私たちは『サウスチャイナ・モーニングポスト』の意見欄に投書した(「バイオディーゼル燃料導入の好機を逃さないで」)。7月20日のメイン投書として取り上げられた原稿は反響を呼び、その後7月28日に賛同の投書が掲載され、8月4日には環保署長官のモック氏から教科書的な反論が寄せられ(「廃油リサイクルとしてバイオディーゼルに関心」)。香港のタクシー1万8千台をディーゼルエンジンからLPG(液化石油ガス)に改造する従来の計画に固執し、大気汚染対策としてのバイオディーゼル燃料の導入を否定。これに対し、8月19日には以前バイオディーゼル事業を手がけた経験者からモック氏への反論、と続いた。

香港政府は1万8千台のタクシーをLPGに改造する計画を大気汚染対策として長らく打ち出している。だけどインフラ建設と車両改造のために膨大なコストがかかり、燃料費もメンテナンス費も高くなるLPGの導入にタクシー運転手たちは大反対。しかもタクシーより大規模にディーゼルエンジンが使われている運輸関係の車両については何の対策案も出されていないため、一部のタクシーをLPGにしても大気汚染改善の効果はあまり期待できない。

「LPGタクシーが導入されたら大気汚染指数がたちまち改善されるように思っている人が多いが、実際には大した効果は見られないだろう」と、1999年1月24日付サウスチャイナ・モーニング紙は伝える。「そうなったら、政府の面子は台無しだ」

バイオディーゼル関係者からの反応

私たちは、環保署モック氏からの投書をノーコメントのまま海外のバイオディーゼル関連のメーリングリストに紹介し、各地のバイオディーゼル専門家たちに意見を求めてみた。

「モック氏のような意見が未だに聞かれるとは残念だ。世界各国の何十もの、もしくは何百もの都市が、大気汚染改善の効果的な政策として、そのためだけにバイオディーゼル燃料を導入していることを、なぜモック氏は知らないのだろうか? バイオディーゼル燃料には20年以上の実績があるというのに・・・」

「モック氏の投書を読むと、彼が石油会社の広報と苦情対策部長のように聞こえてならない」(メッセージの全文はこちら)

「LPGに固執するとは時代錯誤も甚だしい。LPGがグリーンな代替燃料だと思っている人はもうほとんどいないのに」

「クリントン大統領は8月12日に『執務命令』を出し、環境問題対策のためにバイオディーゼル燃料の使用を奨励する指示をしたのに、香港の環境対策を担当するモック氏は知らないらしい」

2週間後、サウスチャイナ・モーニングポストは技術士であり企業家でもあるポール・タラント氏からのモック氏への反論を掲載し、タラント氏はバイオディーゼル燃料の事業を手がけた経験に基づき、環保署の偏った認識を一つ一つ論破した。 (「政府のLPG導入政策は何の解決策ももたらさない」).


・・・ついに燃料を飲んでしまった!

飲んでもかまわないほどきれいな燃料?

それでも環保署の反対意志は固かった。9月28日、サウスチャイナ・モーニングポストはさらに新しいバイオディーゼル燃料実験の記事 を一面に掲載し、香港のミニバスがドイツから購入したヒマワリ油製のバイオディーゼル燃料を使って10キロメートルほど路面走行した模様を報道した。

この10キロメートルの路面走行実験を実現させるために、主催者側は18ヶ月におよぶ交渉と「大量の文書提出」が必要だったとのこと。香港では中国から密輸された安い、悪い、硫黄分たっぷりの燃料がまかり通っている(使用量の6割以上)というのに、バイオディーゼル燃料で公道を走らせることに対してはずいぶんな警戒ぶりだ。

記者の質問に応え、環保署のモック氏は窒素酸化物が「増加する可能性もある」ことを繰り返し、再びLPGを持ち上げた。

実験に参加したミニバスの運転手は、そんなことお構いなしだった。4月に私たちのバイオディーゼル燃料の記事が『明報』に掲載されたとき、キースが燃料入りのグラスを2つ掲げている写真が使われた。6月のりんご日報は九龍バス会社の技師が同じようにバイオディーゼルと軽油の入ったグラスを掲げている写真を掲載。そして今回、ミニバスの運転手はバイオディーゼル燃料のグラスを手に、ほんとうに飲み込んでしまった!

「『別に変な味はしないよ』と運転手は語った」
(警告! まねしないよーに!)

今後の展望はいかに

1999年度の施政方針演説の中で、香港特別行政区行政長官の董建華は大気汚染問題を大々的に取り上げた。施政方針はタクシーとミニバスのLPGへの改造とPMフィルター、触媒の導入、そのための予算として14億香港ドル。より厳重な排ガス規制の導入、密輸燃料の取り締まりの強化、黒煙を吹き出す車の罰金強化、電動自動車の導入、電車利用の奨励などを含んでいた。けれども、バイオディーゼル燃料のような即効力のありそうな対策はどこにも見あたらず、香港の街には相変わらず汚い空気がよどんでいる。


「もたもたしている香港政府を尻目に、ランタオ島の勇敢な2人はバイオディーゼル燃料で車を走らせ香港から南アフリカまで冒険に出ようとしている。キース・アディソンとミドリ・ヒラガはバイオディーゼル燃料を自分たちで作り、数年に渡ってアジアとアフリカの環境と開発問題を調査し報道しながら旅をすることを計画している。彼らが旅を終えるころには、香港政府もバイオディーゼル燃料を導入する決断を下すことができるかもしれない」
リサ・ホプキンソン、1999年10月31日。クリン・ザ・エア会報誌にて
http://www3.cleartheair.org.hk/biodiesel.htm


LPGの健康リスク

「ディーゼルよりLPGの方が健康への害が大きいかもしれない」2000年8月23日付サウスチャイナ・モーニングポスト

アメリカのハーバード大学が行った調査によると、ディーゼルから液化石油ガス(LPG)に移行することは、より大きなヘルス・リスクを引き起こす可能性があることを記事は伝えている。

ハーバード大学のハーバード・リスク分析センター(Harvard Center for Risk Analysis :HCRA)の調査により、天然ガスと呼ばれるLPGは2.5ミクロンの「微粒子(ファイン・パーティキュレイト)」の排出はディーゼルの排ガスよりも少なくなるが、それより細かい0.1ミクロンレベルの「超微粒子(ウルトラ・ファイン・パーティキュレイト)」は逆に増加する可能性があることが報告された。

「より細かいウルトラファイン・パーティキュレイトが健康に及ぼす被害は、ファイン・パーティキュレイトよりも大きいといくつもの調査が示している」

さらに、LPGは温暖化ガスとなるCO2とメタンガスの排出を増やすことも指摘された。特にメタンガスは「温暖化ガスとして機能する可能性はCO2より約20倍も大きい」と言われている。

「ヨーロッパの大気汚染政策は、CO2や他の温暖化ガスの排出を抑えて京都議定書による目標値達成を目指すためにもディーゼル燃料を促進している」とハーバードの調査は述べている。「ヨーロッパの政策は新しいクリーン燃焼のディーゼルを促進する方向に課税や排ガス基準を使っている。ヨーロッパの車メーカーは、排出される微粒子の大半を捕らえる『グリーンな』ディーゼル技術をすすんで採用しているようだ」

ハーバード大学からのプレスリリース
http://www.hsph.harvard.edu/press/releases/press1102000.html

調査のPDF版完全コピー
http://www.hsph.harvard.edu/Organizations/hcra/diesel/diesel.pdf

台湾もバイオディーゼル燃料に注目

台湾もバイオディーゼル燃料に注目
アメリカ大豆協会 (ASA) の台湾支部は、米国バイオディーゼル・ボードの協力の下、大豆から作ったバイオディーゼル燃料を政府が定めるクリーン燃料の一覧に登録するための申請書類を提出した。公道でのテストは9月から開始される。テストで使われるバスは、いつも通りの路線を2カ月半走り、データを検出する。大豆原料のバイオディーゼル燃料がクリーン燃料として認められた場合には、ASAは台湾政府と協力しながら大豆原料のバイオディーゼル燃料を普及するプログラムを主導する予定だ。
-- Biodiesel Bulletin, National Biodiesel Board, September 1, 2000
http://www.biodiesel.org/bio_bulletins/82000bdbulletin.htm


手づくり企画の「バイオ燃料メーリングリスト(biofueljp)」

英語で2000年から開設されていたジャーニー・トゥ・フォーエバーの「バイオ燃料メーリングリスト」および「バイオ燃料ビジネスメーリングリスト」では、世界中から参加した3,000人以上の草の根バイオディーゼラーや専門家、学識者、企業家たちが、誰もがどこでも特別な機械がなくてもバイオ燃料を手づくりできる方法を一緒に開発してきました。日本でも草の根バイオ燃料を広めるために、日本語で情報交換や燃料づくりの協力ができるディスカッションの場を設置しました。ぜひご参加ください。
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