ディーゼル乗用車のSVO仕様化レポート: 手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」


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連絡先
手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」
http://journeytoforever.org/jp/
〒622-0291京都府船井郡
丹波町郵便局 私書箱6号
キース・アディソン (英語)
平賀緑 (日本語&英語)
midori@journeytoforever.org

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ディーゼル乗用車のSVO仕様化レポート

大阪府・和田竹彦さんより寄稿 2005年1月

1.はじめに

ディーゼルエンジン搭載のワーゲンゴルフ(VW)に燃料として植物油そのまま(以下SVOと表記)を直接使用する試みを2004年1月からほぼ1年かけて取り組みましたので、概要を報告いたします。

2.SVOとElsbettのSVO仕様キット

植物油を給油してディーゼル車が走ることを知ったのは「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」のサイトで紹介されている「植物油で車を動かす3つの方法」でした。(http://journeytoforever.org/jp/biodiesel_make.html)
1) 油をそのまま使う 植物油:Straight Vegitable Oil(SVO)
2) 灯油や軽油にまぜて使う
3) 油をバイオディーゼル燃料に作り替えて使う

この3つの方法の中で、すでに3) のバイオディーゼル燃料では燃料系統をバイオディーゼル仕様にしてから1年以上VW Golf(Pic.1)に使用実績があり、次はいよいよ究極のSVOにチャレンジしたいと思っていました。


Pic.1 Elsbettの1タンクシステムを装着し、SVO仕様としたVW Golf 3 Dieselエンジンルーム

SVOを使ってディーゼル乗用車を走らせるには

SVOが燃料として粘度が高いためそのまま使用するわけにはいかず、燃料を加熱して粘度を下げる装置が必要となります。このSVO仕様にするためにはエンジン始動時に燃料の切り替えを行なう2タンクシステムが一般的なシステムとして知られていますが、始動用の燃料として軽油を使い、エンジンがあたたまってからSVOに手動で切り替え、エンジンを切る前にSVOから軽油にもどす煩雑さがありました。2種類の燃料を使用するため重要保安部品である燃料タンクを追加しなければならない点に対して「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」紹介されていますElsbettの1 Tank Systemですとエンジン始動から停止にいたるまで全てSVOだけの燃料で走らせることができ、非常にシンプルです。この1 Tank systemは世界中でElsbettのみ市販されています。

3.SVO仕様に変更するきっかけ

約10年間走り続けていたVW Golf 3 Dieselもついに2003年12月の寒い朝にいくらスターターをかけても白煙が立ち上るばかりでエンジンはかからず、ディーラーに車を修理に持ち込みました。翌日連絡が入り、始動性困難な原因は4本あるグロープラグのうち3本が断線しているからとのことでした。グロープラグを新品にかえるくらいなら、以前から検討していたElsbettの1タンクシステムに付属しているSVO仕様のグロープラグと交換することをとっさに思いつき、いよいよSVO化するチャンス到来となりました。以前NOx・PM規制をクリアした際も規制がかかったことによるピンチがチャレンジするためのチャンスとなりました。参照(http://journeytoforever.org/jp/biodiesel_wada.html)


Pic.2 Elsbettの手動ポンプ、燃料フィルタヒータ、センサ

4.ディーラーでのグロープラグ取り付け作業

すぐさまディーラーと交渉し、交換に必要なグロープラグは個人輸入することとし、交換作業のみを依頼するとともに部品が届くまでGolf Dieselはディーラーにて預かってもらうことにしました。Elsbettにキット1式を発注し、2週間後に航空郵便でとどきました。

キットに含まれているグロープラグとインジェクタの交換をディーラーで行なってもらい、車をとりにディーラーにいったらエンジンを始動させた担当者があわてて飛んできて「和田さん!大変です。白煙がでなくなりました!」とびっくりしている様子。燃料はバイオディーゼルのままですが、いつも寒い朝一番エンジン始動時に煙幕をはったようにわきあがっていた白煙がなくなっていたのには本当に驚きました。これが正常な状態なんだ! と。

5.燃料配管取り付けと電気配線作業

キットの中には配管図と配線図ならびにキットを装着した写真がはいっていましたが、燃料配管ならびに熱交換器の配置に対して取り付け穴を車体にあけることができず、自分で工夫して車体に対する加工をほとんどなくした配置にしたため作業開始から3ヶ月も取り付けにかかってしまいました。


Pic.3 インジェクタ、熱交換器、取り付け状態

また、配線についてもできるだけ目立たない配線レイアウトを実施したため時間がかかりました。

リレー回路を読めない方が配線する場合とか圧着端子をつけながら配線した経験のない人には正確な作業は困難かと思いますので、経験者に教えてもらいながら作業する必要があります。

なお、Elsbettキットのオリジナルに対して変更した箇所は燃料フィルターを紙製フィルターから金属製フィルターに変更した点と電気ヒューズを国産の汎用ヒューズに変更してメンテナンス性を向上させています。

6.装着後の機能テスト

熱交換器側は冷却水系と燃料系を別々にリークテストをおこなうことになります。電気配線側のチェックは、燃料フィルターの電気ヒーター回路とグロー時間を遅延させる回路を別々に動作確認することになります。キットに付属している50Aヒューズを外して、グロータイミングで電気ヒーター単独が作動していることを電気ヒーターの温度上昇ぐあいで確認することになりますが、ヒーター外観が金属製のため、反射温度計では温度を測ることができません。けっきょく火傷しないように気をつけながら手を近づけて温度の上がり方を確認します。次に50Aヒューズを取り付けて、グローランプが消えたあとでも電気ヒーターが加熱していることを確認します。もし、正常に動作しない場合があれば、アース接続が十分とられていない可能性が高いので、サーキットテスターを使って導通確認が必要となります。

7.SVOの入手と濾過方法

一番難しいのはSVOの入手でした。
私の場合、最初は会社にある社員食堂から天ぷら油の廃油(WVO:Waste Vegitable Oil)をもらって天ぷら油用の油こし器で濾過しながら使用していましたが、不純物が多く18L濾過するのに1週間ほどかかりました。また、キースさんに滴定して評価してもらった結果、このWVOでは油が酸化しすぎて酸性度が使用規準の5倍以上高く、配管系にある金属部品にダメージを与える可能性があるとの忠告より、社員食堂からの廃油の使用はやめて新油に近いWVOを知り合いの方から供給していただき走らせています。使用する前に1週間以上静置し、容器の底に沈殿した部分は野外で濾過して分離し、上澄みの油は直接車に給油して使用しています。野外で濾過させることで低い気温で粘度が高くなる油中成分は濾過過程で除去することをねらっています。


Pic.4 電気ヒーター予熱のためのインジェクション信号とグロータイミング信号取り出し配線箇所

8.SVO仕様のGolf Dieselの使用感と注意事項

エンジン始動時はグローランプが消えてから軽くキーを始動側にまわすだけで強力なグロープラグのおかげでいつも1回で始動します。 

軽油、バイオディーゼル燃料(100%)を使用しているときはエンジンをかけてすぐに走り出していましたが、SVOを燃料としているときは、冷却水の温度が上がり熱交換器が作動しだすまで暖気運転をするよういつも注意しています。冷えているときのSVOの粘度による過大な圧力差での燃料フィルターダメージを防止するのが目的です。

SVO仕様VW Golf 3 Dieselを走らすと多人数で乗っているときとか、坂道での運転が非常に楽で、低い回転数でゆっくり回ってもエンジン回転がスムーズなのがわかります。燃焼速度が遅いため、低い回転数でトルクが高くなっているものと考えられます。また、高速側では軽油、バイオデーゼル燃料使用時と同じくらいよく走ります。

排気ガスについては運転席からは白煙、黒煙が確認できずかなりきれいな状態です。排気ガスはもちろん植物油の香りです。

[注意]
SVOで走る場合は通常のディーゼル車にいれず、必ずSVO仕様にしてから使用してください。燃料が冷たいままエンジンに流しますとフィルター破損等によるエンジントラブルの原因となります。

Elsbettのキットを取り付ける際、ディーゼルエンジン整備、電気回路図が読めて電気配線が確実にできる自信がない場合、専門の方に作業を依頼してください。ディーラーに依頼しても最近はディーゼル乗用車がほとんどないため取り扱いになれたメカニックがいるとは限りません。場合によって、ディーゼル車の整備練習台にされてしまい、インジェクターを壊されるリスクがあります。

以上

(c)和田竹彦

☆和田さんへのお便りやバイオ燃料についての質問は「バイオ燃料メーリングリスト」へどうぞ。


手づくり企画の「バイオ燃料メーリングリスト(biofueljp)」

英語で2000年から開設されていたジャーニー・トゥ・フォーエバーの「バイオ燃料メーリングリスト」および「バイオ燃料ビジネスメーリングリスト」では、世界中から参加した3,000人以上の草の根バイオディーゼラーや専門家、学識者、企業家たちが、誰もがどこでも特別な機械がなくてもバイオ燃料を手づくりできる方法を一緒に開発してきました。日本でも草の根バイオ燃料を広めるために、日本語で情報交換や燃料づくりの協力ができるディスカッションの場を設置しました。ぜひご参加ください。
リストURL:http://groups.yahoo.co.jp/group/biofueljp/

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