この超小型バイオディーゼル燃料製造器はおもに台所用品をかき集めて安く簡単に作ることができる。それでいて効果的かつ安全。攪拌中に油が飛び散ったり熱い蒸気が漏れ出たりしないように密閉されているから。1リットルから2リットルの燃料レベルのバイオディーゼルを作ることができるので、初めてバイオディーゼルを作るときの練習用や、後には滴定の数値を確認するためのテスト用としてピッタリ。充分な攪拌と適切な温度調整ができるため、1段階方式にも2段階方式にも適している。しかもどこへでも持ち運び可能!
それぞれのパーツの機能さえ満たせば、ここに紹介した物をわざわざ買ってくる必要はない。ホームセンターへ行く前に、家の台所や物置を探してみて、代わりに使えそうなガラクタを見つけよう。例えば溶接機がなくて鉄アングルでスタンドが作られない人は、木材をいくつかボルトでつなぎバイス(万力)で電気ドリルを挟んでスタンドに固定してもOK。パスタパンとカセットコンロの代わりにホットプレートやクロックポットを使ってもいいかも。などなど、手持ちの物を探して工夫してみて。
材料
- ネジ式ふたが2つある高密度ポリエチレン(HDPE)の3リットル容器(スーパーのイオン水のタンクが便利)
- パスタパン(鍋が二重になっていて湯煎にちょうどいいから)
- 電気ドリル
- ドリル用のグリップ(握り手)
- スパークプラグ・スパナ
- かき混ぜ棒
- カセットコンロ
- 500mlペットボトル2本
材料費 -- 私たちの場合、この燃料製造器にかかった経費はゼロ円。電気ドリルもカセットコンロもまだまだ使えるのに捨てられていた廃棄物をもらってきたから。
電気ドリルを固定するスタンドは廃棄物からリサイクルした鉄のアングルを溶接して作ったけれど、なければボルトで組み立ててもいい。私たちはドリルの位地を調節できるようにしておきたかったので、ドリルに付属していたプラスチックのグリップにちょうど合う大きさのプラグ・スパナーを差し込み、これをボルト2本で締めるようにした(左右に調節できるようにボルトの穴を余分にあけておいた)。それからこのプラグ・スパナーを短いアングルに溶接し、このアングルとスタンドのアングルをボルトで固定するようにした(ここにも上下に調節できるように余分の穴をあけた)。
かき混ぜ棒には直径6mmの鉄棒の先端に切れ目を入れ、そこに小さな鉄辺を鑞付けした。かき混ぜ棒のプロペラ側をタンクの大きい方の口から入れられる大きさにしておくのがポイント。 タンクの蓋には堅い木で作ったブシュ(軸受筒)をはめ込む。木にかき混ぜ棒と同じ直径(この場合6mm)の穴を開け、丈夫なブシュにするためかき混ぜ棒と同じ太さの鉄の棒を加熱し、熱い棒をブシュの穴に注意しながら押し込む--木が黒こげになるほど熱くせず穴の内側の表面がちょっと焦げる程度にすること。ブシュができたら潤滑用にバイオディーゼルを数滴垂らす。
タンクの蓋にブシュと同じ大きさ・形の四角い穴を開ける。内蓋があったら内蓋にも同じ穴を開ける。ブシュを蓋にはめ込んだとき、横側の蓋と接するすぐ上と下に浅い溝を掘る。このブシュを蓋の穴にはめ込み、内蓋も蓋にはめ込み、これをエポキシ樹脂で固める--樹脂をブシュに掘った溝に押し込んでしっかり固定させるのがポイント。その上にシリコンをつけるとより丈夫になる。
原料の油を別の鍋に入れ、台所のコンロで適温まで暖める。それをミニミニ・プロセッサのタンクにそそぎ入れる。
かき混ぜ棒のプロペラがついた方をプロセッサの中に入れ、逆の端(棒状の方)を蓋に設置したブシュの穴に通す。タンクの蓋をきっちり閉め、2本のペットボトルに燃料づくりの適温もしくはそれより少し熱めに暖めたお湯をいっぱいまで入れる。プロセッサをパスタパンに入れ、その両側をお湯で満たしたペットボトルで固定する。今度はパスタパンの中にお湯を注ぎ入れる--タンクが浮かび上がらないよう、油の液面と同じレベルまで。温度計でお湯の温度を確認し、低いようだったらカセットコンロの火をつけて調節する。その後、必ず火は消しておくこと。
電気ドリルをスタンドに固定し、かき混ぜ棒をチャックでドリルに固定する。全部適切なポジションに固定されていることを確認してから、電気ドリルのスイッチを入れて攪拌を始める。
メトキサイドの加え方
メトキサイド楽勝法も参照。
私たちはミニミニ・プロセッサ用のメトキサイドは試薬が入っていたHDPE容器で溶かしている。この容器は薬品用に丈夫にできている上、ねじ込み式の蓋と中蓋もしっかりできるもの。一つの容器はメトキサイドを楽勝法で溶かすために使い、もう一つの容器の蓋をメトキサイド注入用に加工している。蓋にドリルで2つの穴を開け、短いプラスチックか径4mmくらいの銅パイプを差し込み、両側から丈夫なエポキシ樹脂で固定する。銅パイプの1つには蓋の内側に径6mmくらいのプラスチックのパイプを差し込む。パイプは容器の底近くまで届く長さで、曲がらないもの。もう1つの銅パイプには蓋の外側に長目の柔らかいプラスチック管を差し込む。プロセッサの小さな口の蓋にも同じような銅(もしくはプラスチック)パイプを取り付ける。
メトキサイドを注入するとき、メトキサイドを溶かした方の容器の蓋を開け(メタノールはまだ冷たいのでそれほど蒸気は出ていない)、加工したメトキサイド注入用の蓋をしっかり閉める。長い方の管の先をプロセッサの小さな口にとりつけた注入用銅パイプに差し込む。それから注意しながらゆっくりとメトキサイドの容器をプロセッサの上で逆さまに持ち上げる。こうするとメトキサイド容器の空気穴から容器の底(今は上になっているけど)へ空気が入り、代わってメトキサイドは静かに管の中を下ってプロセッサの中に注入される。
メトキサイドがぜんぶ注入された後は、容器をプロセッサの横の机に上下を戻して置いておく。こうするとプロセッサの内部で気化したメタノールの蒸気は、そのほとんどがプロセッサの内壁で凝縮して戻っていくけれど、それでも漏れ出た蒸気は管を伝ってメトキサイドの容器に流れ込み、その途中か容器の中で冷やされて凝縮される。こうすると外部に熱いメタノールの蒸気が漏れ出る(=火事の恐れ)を防ぐことができる。
パスタパンのお湯の温度を温度計で時折チェックする。数百円で売っているアルコール温度計で充分。温度が下がったときにはタンクの蓋が閉まっているのを確認してからカセットコンロの火をつけて加熱する。ふつう1時間の燃料づくりの間に2回くらい温度をチェックすれば充分。 タンクに使うHDPEは透明ではないけれど、中で油の色や粘度が代わりながらバイオディーゼル燃料ができていく様子を観察することができる。
エステル交換が充分終わったら、電気ドリルを外し、プロセッサを取り出して数時間静かに置いておく。タンクの小さい方の口を下にして横向きに置いておくと、底に沈んだグリセリンなどの副産物をそっと抜き出すことができる。別の容器の上でタンクを傾けて小さい蓋を開け、副産物が全部流れ出て黄色いバイオディーゼル燃料が出始めたところで蓋を閉めるだけ!
手づくり企画の「バイオ燃料メーリングリスト(biofueljp)」
英語で2000年から開設されていたジャーニー・トゥ・フォーエバーの「バイオ燃料メーリングリスト」および「バイオ燃料ビジネスメーリングリスト」では、世界中から参加した3,000人以上の草の根バイオディーゼラーや専門家、学識者、企業家たちが、誰もがどこでも特別な機械がなくてもバイオ燃料を手づくりできる方法を一緒に開発してきました。日本でも草の根バイオ燃料を広めるために、日本語で情報交換や燃料づくりの協力ができるディスカッションの場を設置しました。ぜひご参加ください。
リストURL:http://groups.yahoo.co.jp/group/biofueljp/バイオ燃料
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