「ソーラークッカーで世界の不均衡を正す」

途上国における健康・環境・経済・政治的自由の不均衡を正すために、簡単なソーラークッカーがどのように貢献できるか、ソーラー・ボックス・クッカー国際会議にてBill Sperber氏が行った演説(原文:http://solarcooking.org/balance.htm、日本語要約 平賀緑)

途上国での不均衡な現実ソーラークッカーができること
清潔な飲み水を確保できない途上国の人たちの間では、下痢や病気の感染が死に至る大問題。煙突もない屋内のたき火で料理するため、立ちこめる煙が呼吸器系の傷害や目の病気を蔓延させてもいる。お金がないため充分な燃料を買えないと加熱不足で消化不良な食事しか料理できず、ただでさえ食べ物が足りない人たちをますます栄養失調に陥れる。結果として、年間140万人の子供たちが死亡し、平均寿命は50歳に満たない。



太陽熱を利用して水を摂氏65度の低温殺菌することで、下痢や感染病の大部分を防ぐことができる。医療器具を消毒することもでき、病気の感染をさらに減らす。ソーラークッカーは煙を出さないので、呼吸器系や目の病気も引き起こさない。太陽熱は無料なので、お金がなくても食事を充分調理し、消化よく栄養吸収できる食事を料理できる。一度に複数の鍋を調理できるので、赤ん坊のための離乳食も分けて作ることができる。
途上国では燃料の9割が食事を調理するために使われている。途上国で消費するエネルギーの全体量は先進国よりずっと少ないけれど、森が少なくなった危険地帯に余分な人たちも追い込められて一緒に薪を燃やすから、少ない森がますます荒らされ、土壌浸食や洪水・水不足、さらには砂漠化を拡大する一因になっている。木が少ない地方では動物の糞や藁なども燃やすため、有機物が土に還元されず土の養分が蓄えられない。



太陽熱を使うことで、料理に必要な薪の量が減り、森林破壊を減速する。それまで燃やしていた動物の糞や有機物などを堆肥として畑土に養分を還元することで、より栄養価の高い作物を育てることができる。森が保護されることにより土壌流失が防がれ、水源が確保され、肥沃な穀倉地帯が守られる。ある調査は1家族が1年間ソーラークッカーを使うことによって500kgの木材を救うことができると計算している。
貧しい人たちはただでさえ少ない収入の大部分を燃料を買うために使わざるを得ず、貧困の罠から抜け出せない。多くの人が食べ物そのものより、より多額のお金を料理する燃料を買うために費やしている。それでも第三諸国の政府は長年にわたる高利の対外借金のため、自分の国の人たちの手助けをすることができない。







毎日の料理のための燃料購入の出費がなくなり、その分お金をより多く食材を買ったり生活を向上させるために使ったりできる。ソーラークッカーはわずかの材料費で作ることができ、数年も繰り返し同じ物を使える。(10年間、同じ太陽熱調理箱を使った人の報告もある。)
低所得と土地なしのため貧困層に陥ってしまった人たちは、個人的・政治的自由をほとんど持たず、ますます貧困の罠に捕らわれてしまう。人間的存在を虐げられた人たち、特に女性たちは効率的な調理方法を持たないため、調理のための燃料探しと料理に毎日かなりの時間を割かざるを得ない。アフリカの女性たちは3日間がかりで薪を集めている。




燃料となる薪を集めたり、遠くまで探しに行く時間も必要ない。ソーラークッカーは焦げたり火の調整をしたりする必要がないので、調理している間に鍋の側を離れたり他のことをすることができる。特にそれまで余分な家事に縛られていた女性たちを解放し、女性たちが教育を受けたり、子供たちのためにより良い食べ物の生産に時間を使ったり、もっとゆとりをもって家族の面倒をみることができる。薪集めにかり出されていた女の子たちも学校へ行き教育を受けることができる。

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