小さな農場むけ家禽: 手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」



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http://journeytoforever.org/jp/
〒622-0291京都府船井郡
丹波町郵便局 私書箱6号
キース・アディソン (英語)
平賀緑 (日本語&英語)
midori@journeytoforever.org

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食糧問題・食料問題のページ
〜100億人分の食糧をまかなえる世界で
なぜ8億の人が飢えるのか〜

小さな農場むけ家禽

小さな農場や裏庭菜園に適した家禽や飼育に関する情報はインターネット上にたくさん掲載されているし、書籍もたくさん出版されている (小さな農場むけ家禽情報集も参照)。 このページでは主にキースが実際の経験から学んだアドバイスを紹介している。

マスコビー(バリケン)


在りし日のビッグ・ダックとキース
小さな農場で鳥を飼うならまずお勧めするのはマスコビー・ダック。飢餓対策NGOに情報を提供している ECHO (Educational Concerns for Hunger Organization)は「熱帯における効率的な食肉生産のためにはマスコビーが最も適している」と紹介している。でもそれは熱帯地方に限らない。

「まず雄1羽と雌2羽で始めた。8ヶ月後には卵が25個と大小さまざまな45羽分の肉を食べることができた」とある経験者は語っている。でもそれはマチガイ。マスコビーの卵を食べるなんてもったいない! マスコビーは肉を生産するための家禽。この人は卵を食べなかったら70羽分の肉が収穫できただろうに。カモの卵はおいしいけれど、卵のためには次に紹介するカーキキャンベルの方が効率的だ(下記参照)。

マスコビーの肉を食べたことがない人は、機会を探しだしてでもぜひ食べてみて。マスコビーは他のカモ肉のように脂こくなく、どちらかというと特上子牛肉のような、あっさりした繊細な食感で、独特の味と香りがおいしい。カモ肉の中では最高の肉。すべての家畜の中でも最高の肉といえるかもしれない。

マスコビー・ダックは家禽化されたカモの中で唯一マガモ由来ではない独特なカモだ。もともと南米出身で、水鳥というより木の鳥。そのためマスコビーを飼うために池はいらない。マスコビーは飛ぶこともできる。他のカモより体が大きく重いため、飛び回ることで力強い胸肉を作り、脚にもたくましい肉をつける。

マスコビーの胸肉はまるで特大ステーキで、一見カモとはわからない。良い価格で売れる肉だし、生産者にとっても安いコストで手間がかからない。マスコビーは自分たちで自分たちの世話をしてくれるから。

マスコビーの親鳥は世話上手。茶色いヒヨコはカーキキャンベルの雛。これもマスコビーが暖めて孵化した。(撮影:キース・アディソン)
マスコビーは自立しているし、他のカモより餌あさりも巧い。早く大きくなるし、病気にかかることも少ない。他の家畜が食べ散らかした後を、マスコビーはきれいに掃除してくれる。

マスコビーは人なつっこい賢い動物。クヮックヮッ鳴かずにシューシューとかすれた声だからうるさくない。それも必要に迫られたときしか声を立てない--ガチョウみたいなおしゃべりではないし、おんどりみたいな芸能人でもない。しずかな鳥だ。それに飛ぶことはできるけど、飛び回るだけで逃げはしない。

白と黒と灰色の体に、とさかと目の周りとくちばしの上だけが鮮やかな赤としゃれている。マスコビーは工業生産されたり「開発」されたりしなかった。おそらく体の大きさが違うため、大量生産には向かなかったのだろう。マスコビーの雄は雌の倍ぐらい大きくなる。成長した雄は15ポンド(6.8kg)、雌は約9〜10ポンド( 4〜4.5kg)になる。

最初は雄1羽と雌3羽で飼い始めるのがよい。雌は年に3回か4回、それぞれ8個から21個の卵を生み、雛に孵す。卵は35日後に孵化し、70日をすぎると肉として食べ始められる。他のカモより胸肉が50%多く、その98%が赤身肉で、皮の脂肪分は他のカモの約半分と、肉の収穫量が多い。

熱帯出身の鳥だから保温のための脂肪がいらず、マスコビー肉は低脂肪だといわれている。 でもそれにしては温帯地方の冬にすばらしい羽毛のチョッキを作り出すのは不思議だ(貴重な副産物)。キースたちはイギリスの零下15度という寒さの中でマスコビーたちを飼っていたけれど、マスコビーたちは寒さも平気だった。

マスコビー・ダック(Muscovy Duck) -- オクラホマ州立大学の家禽品種部が掲載している情報
http://www.ansi.okstate.edu/poultry/ducks/muscovy/

マスコビー・ダック(Muscovy Duck) -- ECHO技術ノートに掲載されているパプアニューギニア家禽研究センターからの飼育アドバイス。ここでは雛を親鳥から引き離すように書いてあるけれど、マスコビーの親鳥は世話上手だ。犬や猫の危険さえなければ、親鳥と雛、他の鳥の雛も一緒に戯れさせておける。雛も親鳥に似て賢いので安心。マスコビーは餌あさりが巧いため、餌として与えるのは少しでよい。このECHOの技術ノートが記しているより、マスコビーはずっと手間がかからないと思う。 (アクロバット文書)
http://www.echonet.org/tropicalag/technotes/MuscovyD.pdf

マスコビー・ダック(Muscovy ducks) -- Board on Science and Technology 『Microlivestock: Little-Known Small Animals with a Promising Economic Future』1991年出版の第9章。オンラインで自由に読める。
http://books.nap.edu/books/030904295X/html/125.html

家で育てた料理 HGTVより --マスコビー肉のブルゴーニュ赤ワイン・クランベリーソース添え。
http://www.hgtv.com/hgtv/ah_recipes_sauce_dressing/
article/0,,HGTV_3194_1383740,00.html

カーキキャンベル

100年ほど前にイギリスのアデル・キャンベル夫人によって生み出されたカーキ色のカモだから「カーキキャンベル」と名付けられた。なかには色が濃いココア色のものもいる。くちばしは緑色で、雄は頭も緑色、背中と尾はブロンズ色としゃれている。

キャンベル夫人は卵を効率的に産むカモを開発するためにインディアンランナーとまがもとルーアンを掛け合わせ、みごとに「採卵機械」を生み出した。

鶏のなかにはカーキキャンベルより大量の卵を生む品種もいるけれど、特化されすぎて細かい世話が必要なものが多い。カーキキャンベルはほとんど手間がかからない。自分たちでたくましく餌をあさりながら、1年に300個、多いときには年340個もの卵を産んでくれる。それに畑のナメクジやカタツムリを食べ、池でボウフラが蚊になる前に食べてくれるため、裏庭菜園には心強い助っ人になるだろう。

「カーキキャンベルは卵を暖め孵化することができる」という参考文献もあるけれど、就巣性こそキャンベル夫人が苦労して抹消した機能。カーキキャンベルは巣を作ったり卵を暖めたりしない。だからこそ大量の卵を産むことができるように開発された鳥だ。キースはたった一度だけカーキキャンベルが母性愛に目覚め巣を作ろうと思い立ったのを見たことがある。この母鳥は動揺して鳴き叫び、茂みでやぶをかき集めて巣を作ろうとした。でも数分後にはあきらめて泳ぎに行ってしまった。不思議そうな顔をして、ちょっと恥ずかしそうにしながら。

カーキキャンベルの雛を増やしたいときは、卵をいくつかマスコビーの母鳥に抱かせると良い。マスコビーは他人の卵も暖めて、他人の雛も自分の子どもたちと一緒に世話をする。鶏も代母の役をしてくれるかもしれない。

インディアンランナーも採卵用に適した品種だ。カーキキャンベルもインディアンランナーも、マスコビーの助けを借りて雛を孵したら肉も食べられる。

カモを飼うのに必ずしも池は必要ない。でも水場があったほうが鳥たちに喜ばれる。浴槽を地中に埋めて水をはっただけのものでも良いけれど、雛が出入りできるように浅瀬を作ってあげること(そうしないとおぼれてしまう)。雛は孵って数日後までは水に入れない方が良い。

カーキキャンベル(Khaki Campbell Duck) -- オクラホマ州立大学の家禽品種部が掲載している情報
http://www.ansi.okstate.edu/poultry/ducks/KHAKICA/

にわとり


香港ランタオ島でのおんどり(撮影:キース・アディソン)
今まで工業生産された鶏肉しか食べたことがない人は(今の日本では大多数がそうだけど)、本物の鶏肉の味を知らない。小さな有機農場や裏庭菜園で野菜クズや大地を引っ掻いて自分であさった餌を食べて自由に放牧された鶏は特別の味がする。初めて食べたときはびっくりするくらい!

鶏は大小規模を問わず、農場には必須の生き物。特に狭い所にこそ適している。鶏は1回、2回と地面を引っ掻き、鋭い目で小さな虫や芥子粒ほどの草の種を見つけだし、くちばしで素早くつつき出す。カモと鶏を上手に使い、菜園の隅から隅までしっかり虫と草取りをしてもらうようにアレンジしよう。

鶏は肉と卵を提供してくれるだけでなく、堆肥づくりの材料をかき混ぜ、まき散らし、貴重なフンを追加してくれる。それほどの世話も必要ないし(カモやガチョウより手間がかかるけれど)、夜は自分たちで避難してくれる。雄鳥がいなくても卵はとれるけれど、雛を増やすのには雄が必要。鶏は脅かされるとコッコッ鳴いたり叫んだりする。

香港ランタオ島での鶏たち(撮影:キース・アディソン)
雄鳥はうるさい。鶏鳴をあげるのは暁だけなんて信じない方がいい。実際は一日中鳴いているから。すぐ慣れるけど。

雌鳥は採卵のためにとっておいて、余分な雄を絞めて食べる。雄鳥はすぐ喧嘩するから1羽で充分。

鶏には多種多様な品種がいるから、自分がいる地域でよく飼われている品種を飼えばよい。できれば特別専門化されていない一般的で丈夫な品種の方が良い。ロードアイランドレッドとプリマスロックは卵肉兼用だ。レグホン種は採卵用でコーニッシュ種は肉用。バンタムは小さめで便利だし、虫取りが巧く雛を孵すのも上手。バンタムは他人の卵も孵してくれる。

ガチョウ

ガチョウは厳格な菜食主義者、すばらしい芝刈り機、役立つ見張り番。知的で自立心が強く頑固だけど、人なつこくておしゃべりだ。場所に余裕がある人はぜひガチョウもお勧め。ある程度の広さがある庭か草地、池もあった方が良い。ガチョウは大半の餌を自分であさってくれるからそれほど手間もかからないし、草も抑えてくれる。

繁殖させるためには余分に餌をあげた方がよい。ガチョウの卵は1個で1食か2食分の食材になる。野生の状態でガチョウは番(つがい)になると生涯同じ相手に貞節を守る。飼うときは雄鳥1羽に雌鳥1羽のペアになるようにしてあげる。

最初2個の卵は無精卵なので、取り除いて料理する。ガチョウを増やしたいときは卵を産気付いたマスコビーの母鳥に暖めてもらうと、ガチョウはもう一度卵を産む。ガチョウが卵を産むのは春から20週間ほどの間。

ガチョウを使って草を管理する(Using Geese To Control Weeds)
ガチョウは重い機械や人間のように土を踏み固めたりしない。雨でも晴れでも、毎日休日もなく働いてくれる。機械だと填って土壌構造に大きな損害を与えてしまう泥沼状態でも、ガチョウなら平気。ガチョウの鋭敏な首は作物の間やすぐ側に生えている草も上手に引き抜いてくれる。機械や鍬ではとてもできない芸当だ。季節の終わりには美味しい肉と羽毛がとれる。これだけの収穫があると同時に、ガチョウは農場中に窒素分豊富な肥料をばらまいてくれる。--カリフォルニア州Metzer農場より
http://www.metzerfarms.com/weeder.htm

ガチョウで除草する(Weeding With Geese)--ミズーリ・コロンビア大学動物科学部Glenn GeigerおよびHarold Biellier著
なぜガチョウは特定の植物のみ好んで食べ、他の作物にはさわらないのか? おそらく答えを知っているのはガチョウだけだろう。ガチョウを適切に使えば、鍬や除草機による草取りの労働を不要にすることができる。テネシー大学農業普及所は綿花農場でガチョウを使い、1エーカーあたり35ドルの経費を削減したと報告している。
http://muextension.missouri.edu/xplor/agguides/poultry/g08922.htm


チキントラクターのうさぎたち。英国フロディッチ農場にて(撮影:キース・アディソン)

うさぎ

うさぎはまるで。。。まあ、うさぎの様に増える。うさぎは年中子どもを産むし、妊娠期間は1ヶ月もかからないため、すぐ増える。雄1匹に雌10匹まで飼えるけれど、雄と雌は一緒にしない。雄うさぎ同士も一緒にいると喧嘩するため、分けておいた方が良い。柵の下を掘ってくぐり抜けてしまうし放牧もできないけれど、チキントラクターなら巧く機能する。うさぎは肉生産には良いけれど、それなりの手間がかかる。子どもがいれば、子どもがうさぎの世話をしてくれる。子どもはうさぎが大好き。うさぎは草や牧草、野菜くずなどを食べる。

雄うさぎ1匹と雌2匹で飼い始めたら、一年中うさぎの肉を食べることができる。交尾させるためには、雌うさぎを雄のところに1匹ずつ連れていってあげる。そうしないと喧嘩しやすい。ペアを2日間一緒にしておき、12日後にまた同じペアを一緒にし、 そこで雌が交尾を拒んだら妊娠している証拠。母うさぎと子うさぎは6週間一緒にしておき、その2週間後にまた交尾させる。こうすれば1年に4回出産できる。

うさぎのフンは肥料に使うのに、高品質で扱いやすい。

ホロホロチョウ

小さな農場にホロホロチョウは便利な資産。奇妙な鳴き声がうるさいのが玉に瑕だけど。その鳴き声も「見張り番」としては犬より優れているともいえる(ガチョウも見張り番として適任)。行列にはすぐ慣れるだろう。ホロホロチョウはほとんど手間がかからない。ほったらかしに好きなようにさせておけば、自分たちで餌を探し、自分たちの世話をして、とびっきりの卵を産んでくれる。ホロホロチョウの卵は小さめだけどとっても美味。それに雑種のホロホロチョウが食べた虫や草の種から豊富な栄養素が詰まっている。ホロホロチョウは害虫被害を効果的に抑制し、特にダニを食べるのが上手。

ホロホロチョウを使ってダニ管理(Guinea Fowl for Tick Control) -- 「この場所に移って2年目に数羽のホロホロチョウを飼い始めた。それ以来、ダニの心配はほとんどなくなった」ホロホロチョウ放牧のアドバイス。
http://www.geocities.com/Heartland/Lane/5309/index0e.html

「ホロホロチョウと農作業--小規模農場でホロホロチョウを飼うステップ・バイ・ステップのガイダンス by Jeannette S. Ferguson, 1999, FFE MEDIA, ISBN 0739202502
ホロホロチョウの飼い方を卵から成鳥まで、孵化の仕方、餌について、小屋について、その他の問題への対処のしかたを詳しく説明したガイドブック。ホロホロチョウの飼い方について充実した本は他に見あたらない。Jeannette Fergusonからオンライン購入できる。
http://www.guineafowl.com/

一般的なコツ

鶏小屋のとまり木の下に木の灰をまいておくと、鶏のフンと灰が反応して窒素分が飛ばされ乾燥し、カリウムとリンの豊富な有機肥料ができる。乾燥しているため扱いや保存も容易になる(すべての「肥料」にいえることだけど、土に施すよりコンポストに加えた方が良い効果がある)。

鶏小屋の床にコンポストづくりの「茶色もの」--古い枯葉やひなびた牧草、わら、おが屑、切り刻んだ新聞紙や段ボール、木屑などを広げる。その上に畑の野菜クズや生ゴミなど鶏が食べる物を広げる。鶏はこれらの材料を引っかき回し、フンを落としながら切り返し混ぜ合わせてくれる。農場主は余分な労力を払わずに、材料が程良くできあがった頃にそのまま堆肥塚に積むことができる。

家禽を飼うなら、シマミミズを使うミミズコンポストを始めるのもお勧め。ミミズは牛肉よりタンパク質豊富で、生きた(もしくは乾燥した)すばらしい鳥の餌になる。シマミミズは環境さえ整えてあげたら1日に自分の体重と同じ量の生ゴミを食べ、少なくとも6週間に2倍まで人口(ミミズ口?)を増やすことができる。生ゴミを処理すると同時に鳥たちに充分な餌となるミミズを生産するにはどうすればよいか、ちょっと考えたら巧くアレンジできるはず。ミミズについての詳細はミミズコンポストのページも参照。

ジョージ・シェフィールド・オリバー氏による『ミミズは友だち 世界で一番重要な動物の活用法に関する研究』(1941年出版)はミミズコンポストの古典書の一冊。オリバー博士は農家や園芸家のために、ミミズを使って肥沃な耕土を作り、鶏や家禽を育てる高品質のタンパク質飼料を安く生産する方法を開発した先駆者の一人だ。オリバー博士は経済的に厳しい農家のために、ミミズを活用して農作業と養鶏のコストと手間を引き下げるシンプルかつ効率的なシステムを考え出した。ジャーニー・トゥ・フォーエバーの「小さな農場図書館」に全文オンライン掲載している(英文)。

タダの空気から高タンパク飼料を作る方法

ハエが多くて困ってる? それならこれを利用しない手はない。まずは肉や魚の料理中に出た汁や食べ残しの汁、牛乳など、腐りやすい液体を用意する。これをしばらく放っておき、腐敗臭がひどくなったところで100〜140リッター分くらいのコンポスト材料を広げ、その上に腐った生ゴミ汁を振りかける。あまりベチョベチョにしない方がよい。堆肥に積むにはちょっと水分が多いかなという程度の湿り具合にする。

すぐハエたちが群がるだろうから、ハエが大量の卵を産み付けられるように充分な時間解放しておく。充分卵が産み付けられたら、この材料を二重にしたビニール袋に入れ口をしっかり閉じて適当な大きさの段ボール箱に入れて軽く蓋をしておく。もう悪臭はしないはず。袋の中身を毎日チェックする。

1週間ほどして材料が細かくこなされ、袋の中で大量のウジ虫がザワザワ・ゴソゴソ動いているのが見られたときがチャンス。この時期を逃すとみんなハエになってしまうから毎日チェックするのを忘れずに。この活用法は2つある。

その1
5mmくらいの目の園芸用フルイで袋の中身を篩い分ける(ステンレスのフルイが使いやすい)。こうするとフルイいっぱいのウジ虫(最高級の家禽飼料)と真っ黒なコンポストとが得られる。この餌をあげると、鶏もカモもホロホロチョウもクリスマスとお正月が一度に来たかと大喜び。厳格な菜食主義者のガチョウだけは目を丸くしてうんざりするだろうけど、気にしない。篩い分けられたコンポストは堆肥塚かミミズ箱に入れる。ウジ虫は堆肥化の進行を防ぐどころか良い方向に押し進めてくれる。見た目は気持ち悪いかも知れないけれど、適切に扱えばウジ虫は病害を広めはしない。

その2
篩い分けも面倒だったら、鳥たちに自分でやってもらう。でも鳥小屋や草地に広げるとウジ虫を数匹見逃してハエにしてしまうかもしれないので、鳥たちがウジ虫を見逃さないような固い地面に袋の中身を広げる。

これでハエを1世代駆除したことになる。

汁を腐らせる代わりに、生ゴミを数リッターほど蓋つきバケツの中で充分腐らせて使ってもOK。

ニューヨーク州立大学のロイ・ハーテンスタイン博士による『イエバエ』では下水スラッジを処理し、鶏たちに高たんぱく質飼料を無料で提供するイエバエ活用法を紹介している。ジャーニー・トゥ・フォーエバーの「小さな農場図書館」に全文オンライン掲載している(英文)。

アオバエの活用法」『ミミズは友だち 世界で一番重要な動物の活用法に関する研究』(1941年出版)より。「小さな農場図書館」にオンライン掲載(英文)。

鳥たちのボランティア

マスコビー・ダックを飼っている農場では、箱いっぱいのウジ虫を生産するために充分なハエが見あたらないかもしれない。

カナダの酪農におけるハエ駆除の研究によると、マスコビー・ダックは市販のハエ取り器やハエ取りテープなどの30倍ものハエを退治するそうだ。マスコビーたちは散らかされた生ゴミも綺麗に拾い集めるから、もともとハエが発生する余地が少なくなる。

アフリカのトーゴで活躍しているHeifer Project Exchangeによると、地元の人たちはハエの心配をしていないという。ハエはマスコビーが抹殺してくれるから。メンバーがマスコビーを絞めて胃袋を開き、何を食べたか調べてみると、1羽のカモに数百匹のハエが詰まっていたそうだ(ECHO)。

ナメクジやカタツムリが青菜を食べて困ってるって? 「カタツムリが多いのが問題ではなく、カモが不足している問題だ」とパーマカルチャーの創始者ビル・モリソンは言っている。「カタツムリの氾濫というものはない。それはカモの欠乏でしかない」という古い言い伝えもある。

カモはみんなカタツムリを捕まえるのが上手だけれど、中でもカーキキャンベルとインディアン・ランナーは土の中までカタツムリの卵を見つけだすほど退治が得意だ。カモは畑の青菜まで食べてしまうかもしれないから、見張りが必要だけど。

ペットではない

鳥たちを好きになるのは構わない。だけど親鳥にする鳥と肉用の鳥は早い段階でハッキリ区別しておくこと。親鳥たちは名指して呼んでも構わないけれど、肉用の鳥たちには名前を付けたりかわいがりすぎるのは厳禁。何のために飼っているのか、目的を明確にしておくこと。

初めからぜんぶ率直に正直に説明すれば、子どもたちも受け止めることができる。婉曲にごまかさない方がよいと思う。

殺して食べなければ、鳥たちは増えすぎて家中鳥だらけになってしまう。どうしても屠殺できないようなら、卵の時に全部食べてしまうこと。もしくは他に頼める人を確保する。鳥の絞め方は本からも修得できるけれど、チャンスがあれば実際やり方を見せてもらった方がよい。

いざ! 鳥の絞め方

-- 「鳥の絞め方は知っているんかい?」大浪湾村のチョイ婆さんは疑い深くキースに訪ねた。「もちろん! 頭をつかんで、胴体を切り離せばいいのさ!」--大浪湾村 滅び行く香港農村の物語より

とくに初心者には頭を切り落とす方法が一番だと思う。鳥ののどを切る方法もある。どちらもほぼ即死させられる。反射運動で辺りが散らかるけれど。首を折る方が掃除はラクかもしれないけど、上手に絞められるようになるまでにかなりの練習が必要だし、練習台にされる鳥たちに余計な苦痛を与えてしまう。上手にできる人がいれば教えてもらって。

他の群から充分離れたところに1羽ずつ連れてきて屠殺すること。鳥たちに来るべき宿命を知らせて待たせることは決してしない。動物は敏感に死のにおいを察知するから。

頭を切り落とす
できるだけ重い肉切り包丁を使う。鋭く研いでおくこと。台には大きくて重いしっかりした材木を用意する。台の一方に大きな釘を打ち込み、細いロープを結ぶ。ロープの反対側の端に引っ張ると締まるように結んだ輪を作る。台の上に鳥を仰向けに寝かせ、首にロープの輪をかけて軽く絞める(窒息はさせない)。鳥の足をしっかりつかみ、ロープが弛まないように、鳥の首を絞めないけれど動けない程度に引っ張る。なだめる声をだしながら鳥の胸をなでてあげると、鳥はリラックスする(目を閉じるかもしれない)。鳥を安心させたところで素早く、目標定めた決定的な一撃を下す。必ず一回で即死させること。鳥の足をつかみ、反射運動による羽ばたきが収まるまで手を伸ばしてぶら下げておく。

のどを切る
ギザギザのついていない、長めの鋭いナイフを使う。鳥の足をつかんでぶらさげる。初めはバタバタするけれどしばらく待ち、落ち着いてリラックスしたところで地面から180センチくらいの棹か柵にぶら下げる。細いロープをしっかり縛り、鳥の足に輪を数回かけるように。ロープの端に小枝を結びつけ、それを足に挟んで輪をかけるとよい。鳥の頭をそっと、でもしっかりつかみ、頭から3センチくらいのところでのどをスパッと切る。滑らすように、かつ鋭く強い一撃で切ること。反射運動の羽ばたきが収まるまで離れて待つ。

羽をむしる
鳥の死体をお湯につけて羽を緩ませる。あまり熱い熱湯だと火傷して皮まで破れてしまうから気を付けて。カモなど羽毛がとれるようだったらテーブルの上で毛をむしり、掃除機で羽毛を集める。その他の毛は堆肥にする。あらは堆肥か豚にやる。毛も皮も一緒にはぎ取る方法もある。


小さな農場むけ家禽の情報集 も参考に。


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