副産物グリセリンの活用法: 手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」


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連絡先
手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」
http://journeytoforever.org/jp/
〒622-0291京都府船井郡
丹波町郵便局 私書箱6号
キース・アディソン (英語)
平賀緑 (日本語&英語)
midori@journeytoforever.org

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なぜ8億の人が飢えるのか〜

副産物グリセリンの活用法

バイオディーゼル燃料を作る過程では、副産物としてグリセリンができる。グリセリンは粘っこくて色も匂いもない甘い液体。医薬品から食品、化粧品に火薬まで様々な分野で使われている役立ち物・・・といってもこれは純粋グリセリンの話で、台所で廃食油をかき混ぜて作る粗っぽいバイオディーゼル燃料からは、副産物のグリセリンも茶色くドロッとした物体ができる。でも燃料作りの腕が上がればグリセリンの質も良くなり、石けんくらいは作れる物ができるはず。

バイオディーゼル燃料を作ったバケツの底にできたグリセリン石けんの固まり

手作り石けん

台所工房でのバイオディーゼル燃料作りからできるグリセリンは、そのまま粗っぽいけど強力な石けんになる。油の匂いが気になる様だったらエッセンシャルオイルかハーブを加えて10日以上寝かし、残留メタノールを蒸発させ石けん自体も成熟させてできあがり。この粗っぽい石けんで顔や髪を洗う気にはならないけれど、燃料作りに使った道具の油汚れとかランドローバーの部品洗いには役だった。

手作り石けんは油と苛性ソーダと水を反応させて作り、できたグリセリンが石けんの中に含まれていることはご存じの通り。手作り石けんは市販の物より質がよいしグリセリンに保湿作用もあることから、手作り石けん愛好家を増やしている。

「タオの手作り石鹸&お風呂のページ」
手作り石鹸の紹介と写真入りの詳しい作り方。
http://www.geocities.com/supertao/contents.html

「杉原先生の理科室: 廃てんぷら油石けん」
京都の理科の先生が、石けんの洗浄の仕組みから化学反応の詳細も含めてが石けんの作り方を詳しく説明してくれるページ。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/
sugicom/kazuo/neta/bake13.html


See: Natural vegetable soap

燃料作りの失敗作から・・・

廃油からバイオディーゼル燃料を作るとき、滴定を間違って触媒をたくさん加えすぎると、燃料とグリセリンに分離する代わりにバケツの中身全体がドロッとした出来損ないになってしまう。こうなったらバイオディーゼル燃料はあきらめて、失敗作から石けんを作るしかない。

失敗作のドロドロをコンロにかけ、摂氏65度以上の温度で10〜15分間加熱してメタノールを蒸発させる。しっかり換気してバケツから出てくる蒸気はあまり吸い込まないように。高級グリセリン石けんを作るには油1リットルに対し苛性ソーダ135グラム必要。バイオディーゼル燃料の失敗作にはすでにかなりの量の苛性ソーダが加えられているので、(石けん作りに必要な全体量)マイナス(燃料作りの最初に加えた量)を計算して計り取る。くれぐれも苛性ソーダの取り扱いには気を付けて! 皮膚に付けない、目に入れない、アルミニウム・ブリキ・亜鉛に反応するから入れ物はガラスかステンレススティールを使うこと。

石けん作りには水も必要なので材料の3分の1の量の冷めた水を用意する。水に用心深く苛性ソーダを加え溶けるまでかき混ぜる。苛性ソーダが水に溶けるとき熱くなるので、ぬるま湯程度になるまで置いて待つ。出来損ないバイオディーゼル燃料のドロドロを摂氏45度くらいに暖め、よくよくかき混ぜている中に苛性ソーダ水溶液を注意しながら加えていく。休み無く15〜20分しっかりかき混ぜ続け、中身がもたっとしてくるまでひたすらかき混ぜ続ける。

石けん作りには水も必要なので材料の3分の1の量の冷めた水を用意する。水に用心深く苛性ソーダを加え溶けるまでかき混ぜる。苛性ソーダが水に溶けるとき熱くなるので、ぬるま湯程度になるまで置いて待つ。出来損ないバイオディーゼル燃料のドロドロを摂氏45度くらいに暖め、よくよくかき混ぜている中に苛性ソーダ水溶液を注意しながら加えていく。休み無く15〜20分しっかりかき混ぜ続け、中身がもたっとしてくるまでひたすらかき混ぜ続ける。

化学反応が進んで中身が重たくなり、表面に「の」の字が書けるくらい濃くなったら、好みに合わせてエッセンシャルオイルなどを加える。できあがった石けんを湿った布で内張した箱か型に流し込み、温度を保つためタオルで覆って24時間置いておく。型から外して石けんを切り分け、一ヶ月以上寝かして石けんを熟成させる。

とまあ、これはバイオディーゼル燃料の失敗作から作る石けん作り応用編だから、自信のない人は上のリンク先とかを参考にして、まずは基本の石けん作りから練習した方が良いかもしれない。本当は必要以上に石けんを作るより、バイオディーゼル燃料作りが成功した方がいいんだけど・・・

グリセリンから爆薬も

最も恐ろしいグリセリンの活用法は、150年前にイタリアの化学者Ascanio Sobrero氏がグリセリンと硝酸および硫酸の混合物を反応させて三硝酸グリセリン、つまりニトログリセリンを発明したことから始まり、無害なグリセリンから驚異的な爆発力を持つ危険物が作り出された。

発明者自身、実験中の爆発から火傷だらけで、あまりに危険すぎて使い物にならず、多くの人命を奪ったニトログリセリンを作り出してしまったことを後悔していたと言われている。


Alfred Nobel
この危険物を珪藻土に染み込ませて安定させ、扱いの容易なダイナマイトとして普及させたのがアルフレッド・ノーベル氏。実験中の爆発でノーベルの弟も死亡してしまったが、ダイナマイトのおかげでノーベルは大金持ちになった。

ニトログリセリンは、ほんの10ミリリットルでも秒速7,700メートルで10,000倍の100リットルのガスに爆発するという強力な爆発物。ところが、この同じ物質が扱いによっては人を救う医薬品にもなっている。

狭心症の症状を治めるニトログリセリン

「まったく不思議な化学の偶然だが、近代初の爆発物ニトログリセリンが、近代初の人工薬品にもなった。ニトログリセリンは慢性狭心症などの痛みを和らげる薬として今日も使われている」
Esmond A. Barker, MD, in "Nitroglycerin is most frequent medication for chronic heart pain".
http://www.cardio.com/articles/nitrogly.htm

狭心症の薬として使われるのは1錠につき0.6 mgという極微量。いったいどうやって爆薬が心臓病の症状を治めるかというと、ニトログリセリンが体内で分解されてできる一酸化窒素(NO)が血管拡張作用を持つため、狭心症で狭まった心臓の冠状動脈を広げて痛みを和らげるそうだ。でもひどい頭痛とか急激な血圧の低下とか、副作用も大きいらしい。

「爆弾と心臓病とノーベル賞」
製薬会社研究職の佐藤氏によるニトログリセリンの話。
http://www.intio.or.jp/kenta/yuuki/nitro/nitro.html

恋の薬にも・・・

ニトログリセリンの血管拡張作用を利用して「RESTORE」という薬がインポ対策の効果的な塗り薬として1998年に販売が始まった。この爆薬を1%含んだ薬を塗れば「数分の内に効き目があらわれ、45分間持続する。副作用もなし」そうだ。
http://pharmacology.miningco.com/health/medicine/
pharmacology/library/98news/bln0309a.htm

だからといって欲張らないこと! ニトログリセリンもバイアグラも似たような効果があるけれど、この二つを併用すると命取りになることはよくよく肝に銘じておくこと。

「バイアグラ」服用の60代男性が死亡。国内初、ニトログリセリン併用。毎日新聞1998年7月16日東京朝刊
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/article/digital/13/13_6.html

あま〜いグリセリンは甘味料

アルコールの一種であるグリセリンは、食品業界で防腐剤として使われ、また甘みがあるので甘味料としても使われている。特に糖分を含まず甘みを出せるため、砂糖を避けたい人たちにが代わりの甘味料として利用できる。ただ口にする前に、合成ではなく天然の純粋グリセリンであることを確認することをお勧め。


切り取ってきたばかりの桑の葉(左)とグリセリンを吸水させた桑の葉(右)
植物を永久保存する防腐剤

花の保存には使えないけれど、グリセリンを使えば木の葉をほぼ永久的に保存できる。枝ごともしくは葉だけを切り取り、ほこりを落として水2:グリセリン1の溶液を吸水させる。枝なら花瓶みたいに挿して、葉だけなら重しを乗せて葉全体を溶液に浸すと良い。葉が大きいときは溶液を水1:グリセリン1くらいに濃くして。

グリセリン溶液を吸水するにつれ葉は少し茶色かかった色に変わるけれど、いつまでたってもしおれない。

6時間後、何もしなかった葉はしおれてしまった
1〜2週間ほどグリセリン溶液を充分に吸水して葉が垂れてきたら、取り出して風通しの良いところにつるして乾燥させる。しばらくは水分がしみ出すのできれいにふき取る。

こうしてグリセリンを染み込ませた葉は半永久的に保存できる(ただ甘くて美味しいらしいので、虫やネズミに食べられないよう注意)。

電気も機械も使わない素朴なグリセリン・コピー機

コピー板を作る:ゼラチン4オンス、水8オンス、グリセリン8オンス、ゴム・デキストリン(糊精)2オンス。この材料比率を保ち、必要に合わせて全体量を調整する。水を温めながらゼラチンを溶かし、混ぜ合わせておいたグリセリンとデキストリンを加える。全体が均等になるまで混ぜ合わせ、平らな容器に厚さ0.5インチになるよう流し込む。

インクを作る:Violet analine 40 グレイン(1グレイン=0.0648グラム)、gum arabic(樹脂の一種) 12 グレイン、アルコール 1/4 オンス、水 1/2 オンス。Gum arabicを水とアルコールに溶かし、Violet analineを加える。瓶に入れてよく振りViolet analineを溶かす。

コピーの取り方:しっかりした紙に上のインクで何か書き、書いた面をグリセリンコピー板に押しつけ2分ほど動かさない。そっと紙を持ち上げると書いた内容がコピー板に残るので、その上に別の紙を置いて手で軽くなぞりインクを写し取る。コピー板は濡れたスポンジで表面を葺きながら何度も使える。
100年前の身近な知恵を集めた「Lee's Priceless Recipes」(1895年出版)より。

その他の用途

グリセリンはその他も食品産業の乳化剤やビタミンE製造、化粧品やローション、デオドランド、歯磨き粉、医薬品、製紙、インク、繊維、プラスチック、電子機器などなど、いろんな分野で使われている。

「グリセリンとは」
1953年からグリセリンを製造してきた阪本薬品工業が、名前の由来から様々な分野での活用例までを紹介。
http://www.sy-kogyo.co.jp/glyn.htm

扱い方次第で薬から爆薬にもなるグリセリン。その「物」自体が無害か有害か決めてしまうより、その物をどう利用すべきか考えることが大切な良い一例だと思う。

それでもグリセリンが余ったら?

これだけ用途があってもグリセリンが余るようだったら、堆肥に加えて畑の腐植土作りに活用する。グリセリンは無害で生物分解も早いから。


手づくり企画の「バイオ燃料メーリングリスト(biofueljp)」

英語で2000年から開設されていたジャーニー・トゥ・フォーエバーの「バイオ燃料メーリングリスト」および「バイオ燃料ビジネスメーリングリスト」では、世界中から参加した3,000人以上の草の根バイオディーゼラーや専門家、学識者、企業家たちが、誰もがどこでも特別な機械がなくてもバイオ燃料を手づくりできる方法を一緒に開発してきました。日本でも草の根バイオ燃料を広めるために、日本語で情報交換や燃料づくりの協力ができるディスカッションの場を設置しました。ぜひご参加ください。
リストURL:http://groups.yahoo.co.jp/group/biofueljp/

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